6月例会報告
 

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日 時:2018年6月29日(金)19:00~21:45

場 所:国分寺市本多公民館


1.実践報告「ものの燃え方(小6)」

  1.  中山さんはご自身のすべての授業の板書をデジカメで記録されているとのことで、レポートにも何枚もの写真が掲載されていたため、具体的な授業の様子がよくわかる報告でした。ものの燃え方の単元で気体検知管を使います。検知管は酸素や二酸化炭素などの気体の濃度がわかる検知器です。これによってものを燃やす前の空気中と燃やした後の空気中の酸素と二酸化炭素の濃度を計測することができます。

  2.  ものを燃やすと酸素のほとんど(もしくはすべて)が二酸化炭素になると考えている生徒が多いのですが、実験してみると酸素が少し減り、その分だけ二酸化炭素が少し増えることがわかります。中山さんはものを燃やした時の濃度の変化と呼吸前後の空気の濃度の変化が同程度なことから、呼吸と燃焼を関連付けたいと主張されました。

  3.  そのためには気体検知管はとても優れた計測機器なのですが、燃焼前後の酸素と二酸化炭素濃度を計測するので、生徒実験にすると1班につき検知管が4本(1200円以上)必要となり、高価なのが難点とのことでした。



2. 教具紹介「スマートカート(センサー付き力学台車)の実演」

  1.  今回は初めての企画で教材会社(島津理化)の教具の紹介をしていただきました。及川さんは3名の同僚とともに多くの機材(スマートカート2台・タブレット1台・レール1台を3セット)を持ち込んでくださいました。スマートカートはセンサーを内蔵し、無線でタブレットなどにデーターをリアルタイムで送り、グラフ化までできる新世代の力学台車です。

  2.  スマートカートの概要とセットアップの方法の説明の後、実際にニュートンの第2法則(運動方程式 a=F/m)と作用反作用の実験の実習を行いました。

  3.  私の職場の実験室の教卓は、比較的新しくきれいなのでレールは必要ないかもしれませんが、学校によっては必需品かもしれません。ただ、現在販売されているレールは最も長いものが1.2mで「2mくらいは欲しいね」という声が上がりました。レールを繋げることもできるのですが、センサーの精度が良すぎるため、つなぎ目の振動を拾ってしまいました。

  4.  作用反作用の実験では力の大きさだけでなく同時性を確認したかったのですが、iPadとの無線交信(Bluetooth)にタイムラグがあったようで、同時性をうまく見ることができませんでした。しかし、その後、大きさが等しい力が同時にはたらくことを見せられると連絡をいただきました。

  5.  ブラックボックス化を懸念する声もありますが、今まで使っていた道具ではできなかった実験ができるようになったことも事実です。個人的には何でもかんでもスマートカートを使うことには賛成できません。新しい道具と旧来の教具の使い分けについても考えたいと思いました。

  6.  もっと様々な教材について検討したいと思います。リクエストもお待ちしています。


3.『理科教室』6月号を読んで

  1.  いつものことですが、実験や工作をするとついつい夢中になってしまい、時間が少なくなってしまった中での報告でした。

  2.  堀さんは資料をもとに、「学習指導要領」に書かれていないと、プランや実践の量が減ってしまう(もしくはなくなってしまう)ことを憂いつつ、「方法・態度」ではなく「何を教えるのか」を軸に据えた実践を大切にしたいと述べていました。その後、参加者で意見を述べ合いました。

  3.  まず、阿部國廣さんの「雨水のゆくえ」(p46~)についてでした。「坂図」という言葉がでてきますが、これは佐藤完二さんのオリジナルなので、出典を書くべきではないか、という意見が出されました。

  4.  山口誠さんの「魚のたんじょう」(p16~)には、魚の種類ごとの産卵数が掲載されています。以前はスケトウダラの卵の数を数える実践もありましたが、現在では中学校の学習内容からはなくなっているそうです。また、動物では受精を扱うのに、植物では扱ってはいけないことになっているのは問題だ、との意見がありました。

  5.  さらに、生物の生き方が学習からなくなっているのではないか。生活史を扱わなくなっているのは疑問、との声もありました。それに対し、新学習指導要領では中1で動・植物を扱うことになったので、そこでやれるかもしれない、という発言がありました。

  6.  最後に、小野怜さんの「蚕から学ぶ 命の連鎖と本質」(p24~)に関して、せっかく単元を通して科学的に学んできたのに、最後にきて生物への感謝の気持ちで終わっているのは残念だった、という感想がありました。