9月例会報告
 

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日 時:2018年9月28日(金)19:00~21:45

場 所:国分寺市本多公民館


1.学習報告「この夏に学んだこと」………………………………… 参加者

01)

  1. ・九州北部豪雨を教材とした小5のプラン「流れる水の働きと土地の変化」を、さらに練ってみた。地形図を読むという学習を、社会科や理科で取り組んでほしい。災害報道を正しく理解するためにも大切。大きな河川には防災の金をかけるが、小さな川には金をかけないというのも問題。

  2. ・倉敷市真備町の大規模な浸水被害について国土地理院の「浸水推定段彩図」も見たが、地形を詳しく知るために1/25000の地形図を手に入れた。

  3. ・ことしのサークル・フィールドワークは足尾で行った。以前の中学校教科書では「鉱山から金属鉱物を取り出す」学習があり、その時にマイナスのことが起きることも教えられたが、無くなってしまった。今回は鉱毒で汚染された川の水を田に引いて農耕を行わざるを得なかった太田市からはじめた。松木渓谷ではシカの角も拾った(参加者に回覧)。

02)

  1. ・『理科教室』9月号にパレスチナ・ガザ地区で理科実験のアドバイスをされた宮川眞木さんの記事が出ていた。なんとボランティア・スタッフとしてお手伝いしている「パレスチナ子どものキャンペーン」(CCP:Campaign for the Children of Palestine)から派遣されたということでびっくり。CCPの機関誌「サラーム(平和)」を読み返すとNo.110(2017年10月)に宮川さん派遣報告が出ていたのでコピーして紹介。

  2. ・科教協群馬大会の科学お楽しみ広場では、5月例会でやったブーブー風船が好評だったので紹介したが、小さな子どもたちが多かったこともあって難しく、帰宅後にリードの形を変えた改良型を考えた。プラスチック製品は教材としては使いやすいが、海洋汚染の問題を考えると、今後は紙笛などを中心としたプランを考えていきたい。

  3. ・足尾のフィールドワーク〔太田市足尾鉱毒展示資料室草木湖源五郎沢堆積場庚申(こうしん)ダム小滝(こだき)坑足尾砂防堰堤松木渓谷本山坑龍蔵寺間藤(まとう)水力発電所跡簀子橋(すのこばし)堆積場と有越(ありこし)索道塔の遠望〕を、写真中心の資料で報告。

  4. 〔鷹取〕報告資料では「足尾精錬所」となっているが、「精練」は金属から不純物を取り出すことであり、「製錬」は鉱石から金属を取り出すことなので、ここは「足尾製錬所」とすべき。

03)

  1. ・群馬大会の全体会では矢島稔さんの講演がよかった。ゲンジボタルの話もあったので地域にカワニナが少なくなっていることを質問したら、「アメリカザリガニに捕食されているのではないか」との答えがあった。

  2. ・足尾フィールドワークでは、以前小学生を引率していった時と比べながら歩いた。松木堆積場ではカラミも手に取ってみた。陶磁器の釉薬(ゆうやく)として持って帰りたかったが、やめた。足尾製錬所の1989年よりも古い写真を本で見たことがあったので、探してみたい。

  3. ・国分寺市は日野市・小金井市とともに日野市にごみ焼却場を建設中ということもあって、調布市にあるごみ焼却施設を見学した。元々は屎尿(しにょう)処理施設の合った場所ということもあって、住民の反対もなかった。悪臭もまったく漂っていなかった。「ろ過式集塵機のろ布の目の大きさはどのくらいか?」「どれだけの効果があるのか?」などの質問をしたが、案内の方は答えられなかった。国分寺の新施設では、見学者にも科学的にろ過などについて説明できる体制をつくる必要があることを国分寺市の環境ひろばの会議で要望した。

04)

  1. ・以前から(ブタンの沸点は-0.5℃なのでドライアイスを使わなくても、氷と食塩で液化ができるのではないか)と思っていた。【以下演示】

  2. ・(氷を細かくして、試験管との接触面積を増やしてやれば効率的ではないか)と考え、ハンディタイプのかき氷器を導入することを思いついた。

  3. ・公民館での実験なので2つ重ねた紙コップ(発泡スチロールコップの方がいいだろうけど)にかき氷器をかざし、かき氷を山盛りに入れる。

  4. ・学校でやる場合、使う容器は300mLのビーカーがよい。口いっぱいまで寒剤を入れる。中学校以上であれば熱量計(発泡スチロールで囲まれている断熱容器)があるはずなので、ビーカーを熱量計に入れるとなおよい。

  5. ・食塩を入れてよくかき混ぜ、温度計で確認しながら食塩を足しつつ、しっかりと温度が下がったところで試験管を差し込み、ポリ袋から気体のブタンを押し入れ、液化させる。

  6. ・カセットボンベやガスライター用の、沸点が-11.7℃のイソブタンが混じったものでも、-17℃以下にすれば、すぐに液化する。

  7. ・試験管の底に指をあてると沸騰も確認できるし、試験官の口に火もつけることができる。

  8. ・生徒にとってはブタンの気体が入っているポリ袋ごと温度を下げて液化しないと、納得できないようだった。

  9. ・そこで発泡スチロールの箱に小さめの氷をたくさん入れ、食塩をたっぷり入れてよくかき混ぜ、気体のブタン入りのチャック付きポリ袋を埋め込むようにする。

  10. ・しばらくして取り出すと液化しており、指で挟むと沸騰も確認できる。

  11. ・この場合もかき氷でやった方がポリ袋の温度を効率的に下げられるし、ポリ袋を埋め込むのも簡単だが、今回はかき氷器がなくてもできることを、見せたかった。

05)

  1. ・長野で開かれた全国教研に参加した。いまでは日教組と全教で分かれての開催となり、寂しい。三石初雄さんの「現場では“○○スタンダード”などと、型しばりが強い」という話が印象に残った。そんな中、滋賀県の新採3年目の若者が、空気を物として認識させる授業をしたというのが心強かった。「授業の初めに“本日のめあて”を板書しろ」という圧力に対して、(それでは“ネタバレ”になってしまう)と、なんとなくぼんやりとしたことを書いて授業を進めたという。夜、以前科教協東京大会でも会場校の一つとしてお世話になった正則高校の阿部武徳さんと飲んだのが楽しかった。

06)

  1. ・群馬大会の科学お楽しみ広場では子どもが多かった。生の反応が見られてよかった。分科会では主に物理分科会に参加した。不思議体験で興味を持たせてから授業に入る報告が印象に残った。

  2. ・音叉を持ってきた。軽くたたいて机に立てると音が大きく聞こえる。両方の鉄ぼうにおもりが取りつけてあり、その場所を調節することで周波数を変えることができる。【演示】

  3. 〔参加者〕「左右でおもりの高さを変えてみたらどうなる?」打ち消しあって振動しない。「おもりの位置をクリック・ストップできるようにすればいいのではないか」

  4. ・プランターに砂を詰め、蛇行した川の型を押し当てて、川の流れの学習教具をつくってみた。【映像紹介】

  5. 〔参加者〕「砂だけでなく礫や粘土など、粒もいろいろな大きさのものが必要ではないか」「ペットボトルから水を流しているが、じょうろで雨を降らすようなやり方がいいのでは?」「大量の水が流れる場合もある。その場合まっすぐに流れることもあり、最初に蛇行ありきがよくないのではないか?」

07)

  1. ・生徒と福島に行ってきた。3.11のときにはぎりぎりだいじょうぶだった福島第二原発にも行った。燃料は全部取り出したので放射線量は問題ないということで、格納容器の真下まで行った。近くの施設では巨大な霧箱があり、自然放射線が見えた。メガソーラーの施設もできていた。街中のモニタリングポストの値はほかの地域の100倍くらいだった。放射線量も測定していて、福島の安全な食べ物も知った。福島高校とも交流した。今後は、放射線についてもっと勉強していきたい。

08)

  1. ・群馬大会には2日ほど参加し、「運動を教えるにあたってグラフどう活用させか 」をレポートしてきた。

  2. ・夏休みはバレーボール部を担当しているので、ほぼ部活で終わった。

  3. ・文化祭でははじめてお化け屋敷をやり、賞を取った。

09)

  1. ・力学概念について、授業前と授業後のFCI調査を行った。gainが1に近づくほど成果があるということ。事前と事後の度数分布を見ると、事前の標準偏差が5.0だったものが、事後では裾野が広がり5.9と大きくなっている。ばらつきが大きくなることは、ごく一般的なことと聞いた。文系と理系でクラスを分けていないが、文系と理系混在によるモチベーションの差が標準偏差増加の原因か。

  2. 〔参加者〕「事前に比べて事後は得点が高い右方向に正答数が動いているので、それだけ授業の成果があったということではないか」

10)

  1. ・群馬大会の帰り、ラベルに“町田酒造”と大きく書かれた1升びんの日本酒を購入した。物質量の単位であるmolの学習のためである。おちょこ1杯は18mlで水1molが入る。お銚子は180mlで10mol、1升なら100molというわけで、視覚的な理解のために購入した。ほかのお酒でもいいが、よりインパクトのあるものに、と群馬の町田酒造にした。必死(?)に飲んで職員室にもしばらく飾っておき、ほかの教員にも説明をした。

  2. ・文化祭では、生徒全員で大きな壁画を作成した。


2.『理科教室』を読んで「『理科教室』9月号」

  1.  残り時間が少なく、用意されたプリントに基づいて、口絵写真と特集中心に感想が報告されました。

  2. 「口絵写真のモザイク状のレイアウトはやり過ぎではないか」「特集の主張では“伝わり方”という言葉を内容に即した別の表現にした方がいいのではないか」「生源寺さんの論文は小中高ではなく高中小としており、わかりやすい構成だが、学ぶ意味についての部分が多く、“何を”“どのように”学ばせたいかの部分が少なくなってしまった」「小3や低学年の“音の学習”では、音が出ているものは振動していることを大切にしたい」「“読者の広場”は最近学生が続いているが、他の人の感想も載せてほしい」などです。