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日 時:2017年6月23日(金)18:50~21:45
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場 所:国分寺市本多公民館
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0.催しの紹介
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鈴木さんから、〈国分寺市環境ひろば〉のメンバーとして市内小学校で行われたヤゴ救出作戦の報告と、市内姿見の池で行われる“ホタルの夕べ”の催しを紹介がありました。また、町田さんからは2015年のノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章氏の七夕講演会「ニュートリノで探る宇宙」の紹介がありました。
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1.実践報告「“重さ”の授業」……………………………… 阿久津
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“科教協では小中学校で実践している内容”を前段に置いた実践ということでした。C組とD組で討論の様子が違うのは、<D組では「“真空”は“何もないこと”」という意見が出たのに対して、C組ではそこまではっきりした意見が出なかったせいではないか>と、阿久津さんは分析しています。
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鷹 取:5時間目の授業(原子の構造)は、どうしてここに入れたのか。
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阿久津:シャボン玉は浮いていくのに、重さがあるのは不思議ということへの対応。
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小 川:4時間目の“不思議”は、この映画を見ることで納得した?
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阿久津:そう簡単ではない。去年は食塩の粒が水の中でどうなっているか、分子は動き回っているという話をしてから水素に移った。
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小 川:浮力を、分子運動でわからせようとしても無理。中学校では圧力の差で説明する。
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気体の重さは、空気なら1Lボンベから抜いて確認する。Heも同様に1Lボンベから抜いて確認する。「もしHeに“軽さ”があるなら、出て行っただけ重くなるはず」と、討論の中で意見が出てきて整理できる。
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鷹 取:どうしてシャボン玉なのか。ここで“動き回る粒”をどうして入れたかったのかわからない。
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中学校では浮力にかなり時間をかける。液体から気体へという順序性からしてもシャボン玉は唐突。シャボン玉を入れることで、混乱させることになったのではないか。
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阿久津:そういえば、生徒の中に「シャボン玉を見せられなかったら、もっと考えられた」という意見があった。
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小 川:沈むものでも浮力は受ける。浮力と切り離して、授業をした方がいい。
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2.フィールドワーク事前学習「山麓堆積地(扇状地)とまちづくり」……………… 鷹取
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広島大会の後、生物サークルと合同で行われるフィールドワークの事前学習という形で、広島の土砂災害を教材としたプランの提案がありました。新聞記事やTV報道番組、書籍、地形図やハザードマップなど、豊富な資料を教材としたものでした。
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町 田:28ページ上の図(Ⅳ.2014年8月20日の広島市の豪雨による土砂災害<付図>)の2本の線のうち、赤い(細い)線は、尾根伝いの線か。
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鷹 取:その通りで、赤い(細い)線は尾根に沿った急傾斜線。黒い(太い)線は、阿武山から梅林小学校を直線に結んだ線。
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阿久津:30度の傾斜がないところなら安全なのか。
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鷹 取:決め手にはならない。30度というのは、土砂災害防止法にある数字。
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扇状地というと、桑畑に利用しているなどと教えるが、土石流が起きるなどリスクも教えなければならない。
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このあと、NHK時論公論「土砂災害危険箇所 指定と対策を急げ」(2017年6月22日)を視聴しました。「土砂災害防止法と広島の教訓」「指定が進まない理由」「対策を進めるために」の3つのポイントを、松本浩司解説員がわかりやすく問題点と提言を述べた番組でした。
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3.『理科教室』を読んで「『理科教室』2017年6月号」……… 町田
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特集「どの子にもわかる理科授業」を中心にした感想でした。町田さんは「この特集はすべての教員に関わる根っこの部分についての特集だ」としていて、阿久津さんも高く評価していました。私も同感で、現役時代に障害を持った子どもたちの教育について話を聞くと、いつも“教育の原点”を感じていたことを思い出しました。
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鈴木さんからは池田和夫さんの論文について、「池田さんらしい文章だが、最後にはがきを載せているのはいただけない。うれしい気持ちはわかるが…」、浜田志津子さんの論文について、「感動したが、小学校ではマッチは使わない」との話がありました。阿久津さんからは、「特集の趣旨からすると、後ろの2つ(松本徳重さんの「いっぽ いっぽ」と、座談会「理科の授業づくりで考えること」)は無しにして、違うものにしてほしかった」との意見がありました。これに関連して町田さんから「視覚に障害がある子の教育についての論文もあって考えさせられたが、聴覚障害の子の授業も取り上げてほしかった。音の授業で、ものが振動すると音が発生することについて、スピーカーや音叉を触らせることもできるだろう」と述べていました。鈴木さんはまた、南谷由香さんの論文にある「保護者から求められる合理的配慮」について、「教師集団として保障していくことが大事」と意見を述べました。