11月例会報告
 

過去の例会へ ホーム

  1. 日 時:11月24日(金)18時30分より     

  2. 場 所:国分寺市本多公民館


1.「振り子とてこ」 ・・・・阿久津さん

  1.  『理科教室』の2018年1月号の特集記事に書いたことや、書きたかったけどページの都合で書き切れなかったことなどを含めての報告でした。

  2.  はじめは振り子についてでした。以前、参観した小学校の授業では児童が周期を上手に測れていなかったそうです。これはヒモが短すぎる(周期が短い)ため誤差が大きくなるのが原因です。ヒモの長さを1mにすれば、周期が2秒になるので測りやすくなるとの改善提案がありました。また、実験では10回振動させて測定した時間を10で割って周期を求めていますが、初めて振り子を学ぶ児童にとっては、毎回周期が同じであることは自明ではないので、まずは1回分の周期を測る必要があるとの主張がありました。

  3.  阿久津さんは、振り子では「どんな物にも、その物によって決まった振動をする」ことを大切にしたいので、小学校でバネ振り子もやっても良いのではないか、と主張されました。しかし、小学校でバネ振り子を学ぶと中学校でやることがなくなってしまう、との発言が出されました。

  4. この後、振り子の学習は高校3年で学ぶ『物理(4単位)』までありませんし、小学校の時点では考える手掛かりがないので、阿久津さんはやらなくてもいいかもしれないと考えているそうです。

  5.  次は「てこ」についてです。教科書に載っていて全国の小学校で使われている「てこ実験機」は実は「天秤」です(写真はナリカの「実験用てこ」C15-1007-01)。「てこ」は仕事の実験装置で「天秤」はモーメントの釣り合いの装置です。このふたつがゴッチャになっていることで、高校でモーメントを扱いにくくなっているという指摘があります。八南理科サークルの山口勇蔵さんは、以前から「てんびん」と「てこ」を分けるべきという主張をされているそうです。

  6.  「てこ」では力では得をするが距離では損すること(=仕事は変えられない)ことが重要ですが、指導要領は「水平になること」にこだわっていて、科学的な事実よりも算数と関連してデーター取りのための授業になっている、との指摘がなされました。


2.「磁石で遊ぼう」 ・・・・堀さん

  1.  もっと小学校の先生に参加して欲しいとの考えから、久しぶりの工作でした。今回は堀さんに青森の野呂茂樹さんのHPから、磁石を使ったおもちゃを3種類紹介してもらいました。

  2.  はじめは「磁石でクルクル」です。背中が丸く、磁極がそろったフェライト磁石を2つ使用します。一方の磁石を机に置いておき、もう一方を近づけると(斜めに近づけるのがポイントだそうです)机の磁石がクルクルと回転しながら逃げていきます。逃げる磁石に好きな絵を載せてテープで留めれば完成です。アシカやバレリーナがクルクルと回りながらうごきまわりました。

  3.  2つめはピップエレキバンの磁石を2つ使った「簡易のぼり虫くん」です。1つはテントウムシの裏に貼り付け、もう1つはテープを外したエレキバンの磁石を細いストローに差し込みます。そのストローを一回り太いストローに差し込んでスライドできるようにしてテントウムシをくっつけます。ストローをスライドさせるとテントウムシがクルクル回りながら移動しました。

  4.  3つめは「ドラミングキツツキ」です。内側の紙コップにシール付きの磁極が交互になっているマグネットシートを貼り、外側の紙コップにはキツツキを同じように貼ります。紙コップを出し入れするとキツツキがドラミングします。

  5. どうやったらうまくドラミングするか、磁石の貼り方や向きなどをいろいろ工夫しながら作りました。

  6.  久しぶりの理科工作は楽しかったです。年に何度かはぜひやりたい企画です。


3.『理科教室』11月号を読んで ・・・・津田さん

  1.  工作に熱中しすぎて時間が短くなってしまった中での報告でした。報告の中では、巻頭口絵をはじめ、様々な論文に言及していました。その中でも、中嶋さんの『重さを量る イメージを作る 小学校4年生~6年生』にあった、イメージ図をどのように使っていくかが議論になりました。

  2.  1つめはP52の○と□のイメージ図です。「小学生には難しいのではないか。」「本当はイオンだからバラバラになっているはず。」などの意見があがりました。イメージ図はあくまでもイメージ図ですから、適用範囲には限界があります。その限界を授業者が理解した上で使わないと、生徒達が誤った理解をしてしまう可能性があることを授業者が意識する必要があります。10月に開催された東京支部の秋の研究集会の物理分科会でも、電流の水流モデルについて同様の議論がありました。

  3.  P53の「お水ちゃん人形」については、実践直前にストップがかかったと書かれていましたが、なぜいけなかったのかを書いて欲しかった、との意見がありました。また、P54では、三態変化を水の粒としてイメージさせる実践が書かれていますが、「小学校4年生の三態変化で水の姿を粒で説明できるだろうか。」との疑問の声が上がりました。