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駿河昌樹詩葉・2001年5月
知りもしないきみに
坐っているばかりの小皿
はつ夏をひかえて
ふしぎなほど肌ざむいひと日
あらゆる兵たちは過ぎていった
多くの銃口を向けられ
空は青ざめたままで
人間たちを抱擁するのを忘れ果てる
小皿は開いた口のかたち
小皿なりの空のまねび
どこもかしこもしずかだ
―きみはどこにいるか と
知りもしないきみに
しずけさで
語りはじめる
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