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駿河昌樹詩葉・2001年5月
ひらひら
天使だけを友とした
わたくしのような霊の場合
墓はひんやり青草のかこむ高み
丈低い小振りの黄花白花は
墓石のわきに咲き出で
ここに眠る者などいないと
それとなく告げる
陽がつよく差しても
みずみずしい緑の葉がつめたく
はじめからなにもなかったと
宇宙に諭している
わたくしだけを友とした
霊のような天空の場合
墓はひんやり透明の天使
衣のすそのひらひら
生死の歌のひらひら
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