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白豆を食べていたりするのですヨ
日々起こることは象徴で
昨日のあのひとのしかめっ面さえ
なんの象徴かと思いつづける
固有名詞 を ネェ
そのまま受けとめたことが ネェ
ないのですヨ
山田誠という文字が
三文字の一時的な配列としか見えず
ひとりの人体が
その三文字の載った白い小紙片を差し出しながら
yamadamakoto desuと発声しても
その音声と文字と人体とが
しっかりと密着しているとは感じられない
おい、yamadamakoto
おまえは一時的だ
と つよく小突いてやりたくなる
もちろん三位一体を受け入れる演技は怠りないが
だんだん疲れてきたな、これにも
あんたがどんな文字や音声とくっついていても
べつに興味ないんだけどネ
と言いたくて
言いたくて
たまらなくなる
なんとか言わないでいられるのは
さらに思いが進んでいってくれるからですヨ
あんた
と いう語はこちらが勝手に付加した呼称で
それを相手と繋げてしまっていい保証はないと
考えつづけていくので
面倒になっていくので
言わないでいられるのだが
こんなことが健康にいいとは言えませんナ
と思いながら
白豆を食べていたりするのですヨ
白豆を食べていたりする
白豆をなんです
白豆をですヨ
「ぽ」259 2008年3月
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