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まよいの霧



まよいの霧の
間に間にみどり
よみがえる喉
ほそい水
ながく失われていた
足の
踏むべき土にも
精妙な湿り

折りとらなかった枝が
いまごろ謝辞を芽吹かせ
遠い山々は明るむ
幾千年の
凝結のわたくし
爪は深み
感情たちも
発光していく





「ぽ」268 2008年3月

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