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ティッシュペーパーを、一枚



ティッシュペーパーを
一枚
とろうとする指の
もう軽い死を
超えたうす影色の

(見まちがいかと
……いいや、たしかに)

灯かりを受けて
ほのか輝いたあたりの脇に
現われた薄い色の
中空に流れのびてゆく
速さの

せつない誘われ
落ちそうに知る
はらはらの
情や枯淡の火の小花
吹き濡れ

つつつ、と

なにか声でも
出さないと
こらえ切れない泉の崩れ

おだやかに水は
宙からくだり
指、その指に繋ごうと
うちに満ち
近づけて

ゆく
べつの

見者ヲヤメヨと
声も立ち





「ぽ」278 2008年3月

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