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ひさしぶりに海に



おおげさなのが いやになってしまった
おおげさなことを 言うのも
おおげさに 気持ちを高ぶらせるのも

他人がおおげさなのは いやでもない
よくやるなぁ、あのひと
そう思いながら どう収束していくか見ている
どう収束しても どうでもいい
どう収束しても そんなに
おもしろいわけでもなかったんだし

数年ぶりに 詩の雑誌を開く機会があって
おどろいたのは
詩集の広告がどっさり出ている ということ
よほどの読書家でも知らない詩人らの名がならんで
異界はなんだか ひとりはしゃいでいる感じ

おっと 批判を言おうとしてるのじゃないよ
ひさしぶりに 海に行こうとしている
泳がないと思うけど 水着もいちおうは持って
午前のはやくから 日の暮れる頃まで
ふらふら 浜遊びに出るのだ
炎暑のもとで 疲れるのはいやだから
ビールなんか飲まず お好み焼きも食べずに
ロールパンと自販機のお茶で過ごす 一日
カバンはかけていくけど
ほとんどなんにも入れてない からっぽの袋で
サンダルを 砂だらけにしてくるつもり

おおげさなのはいやだな と言いたかっただけなんだけど
こういう投げやりな詩も どうかと思うな
でも あと数分で出かけようと思ってるので
ところどころ楽に流している ってわけ

ひさしぶりに 海に行こうとしている
泳がないと思うけど 水着もいちおうは持って
ちょっぴり おおげさに書き留めておきたいような
ぼくの人生の
終盤戦の はじまり






「ぽ」84 2005年3月

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