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きみの花の豪奢よ






「あたし、麻酔がさめたとき、とてもすてばちな気持でさ、 さっそく看護婦さんに、男の子か女の子かってきいたんだ。 そして、女の子だって言われて、顔をそむけて泣いちゃった。 『いいわ、女の子でよかった』って、あたしはそう言った。 『ばかな子だったらいいな。女の子はばかなのが一番いいんだ、 きれいなばかな子が』って」 (フィツジェラルド『グレート・ギャツビー』野崎孝訳)






まだ七時にもならないのに
真昼のような部屋
切りとるように
きみの花を
花びらを
東からの陽射しが
照らしている

這い上がってくる
波のとどろき
どこにいてもぼくら
海の申し子
うねうね
海のように
肉と肉をあわせ
海のいきものどうしを
つよく
やさしく
むすびつかせて
洞をぬける
ひそかな水流のように
未来は噴く

ああ 肌が
ただ肌であるよろこび
なにもまとわず
覆われず
ぱっくりと口を開けて
太陽のひかり
次の恋人をむかえる
きみの花の
豪奢よ



「ぽ」351 2009年6月

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