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照葉(てるは)



木々の裾に
風が通る
細かな砂と
塩が交じり
ほそい幹をこする

しっくいの壁は十数年で灰色になり
それからまたシーリング剤を詰められて
塗りかえられ
椿の花がぽつぽつと
咲いていく

その薄い赤と薄い青を着た少女
その花緒の履きものと
肌にすれる布

てるは
てるは
ふねにのりついで
あらしや海霧をかきわける
(てるは)
さざんかの群れより
岬を望み
そしてくりやではたらいて

木々の裾を通り
通り
すなわち
小花の柄の
てるは



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