[ NEXT ][ BACK ][ HOME ][ INDEX ]



手摺りの金箔



金箔が
はがれる
草の根株のほうから
風が湧いている
朝の無音のなかで
たちまち
箔が
後ろのほうへとたなびき

この場合は数式がいい
粉々に
ふわふわの金が
部屋に飛び散る

金メッキのトンボ
の箔が
いやに飛ぶね
その尻尾をこすってみると
その中はまた金
この場合は
浴槽がいい
お風呂に入ると全身
金色

ぼくは指折り数えます
そして逆に指を開いていく
ひとつの金のトンボ
もうひとつ

ああそうか
ぼくたちは街に来て
そして街を歩く
箔が手摺りから
浮かんでね



[ NEXT ][ BACK ][ HOME ][ INDEX ]