直線上に配置



第12回  授業時数をこんなに増やして、それで学力は向上するの?

新しい指導要領は、OECD(PISA調査)の学力調査などで日本の順位が下がったことを理由に、次々と10年前の改定で削った内容を復活させ、それと合わせて授業時数をグンと増やしました。何しろ、学校がまだ六日制だった20年前に近い授業時数を確保するというのですからたいへんです。


来年度から、小学1年生は、学校にも慣れないうちから毎日5時間目まで授業。6時間授業がある日もでてくるといいます。高学年は、ほぼ毎日6時間。それでも足りなくて夏休み短縮、モジュールだ、始業の日から3時間授業だ、いや4時間授業だと、「授業時数確保」に狂奔しています。


しかし、授業時数が多ければ学力は向上するのでしょうか。先のPISA調査で連続世界一になったフィンランドの授業時数は小学校低学年で500時間台、高学年でも600時間台で、日本のそれとくらべてずいぶんと少ないのです。フィンランドの標準授業時数はOECDの調査国中もっとも少ない国の一つです。


そうであっても、「授業時数確保」の大号令は日に日に高まるばかりです。夏休みが削られ、行事が削られ、新型インフルエンザで学級閉鎖があったからと冬休みも削った学校まで現れました。学校からは放課後が消え、子どもとの語らいが消え、ゆとりも潤いも消え、学校がまるでささくれ立った調教場のようになり始めているように見えるのは私だけでしょうか。



もどる
直線上に配置