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第19回  「習熟度別授業」で学力は向上するのか? ()

C進みぐあいをあわせるだけで精いっぱい

「習熟度」で一番重視されるのは《進度》をそろえることです。実際には月曜の授業は教科書の○ページ、火曜は○ページ・・・・・と、教科書の何ページまで進むことが授業のノルマになります。子どもが分かっていようといまいとそれは二の次、ともかくそこまでやっておかないと後がたいへん、一斉に「まとめのテスト」もできません。

こうした結果、子どもの実態に合わせて授業を工夫し教材や教具を準備することより、ともかく教科書を進めるために教科書と指導書に首っきりの毎日が続きます。「教科書教える」どころか「教科書教える」ことに汲々とするのが「習熟度別授業」の実態です。

ところで、その教科書は文科省ですら問題が多いと、今度の学習指導要領の改訂で内容を大幅に書き直さざるをえなかった代物なのですから事態はなおいっそう深刻です。

Dていねいな指導が必要な子も同じ時間で

 「習熟度別授業」は、ていねいな指導が必要な子には少人数でじっくりと分かるように教えるというのが謳い文句です。しかし、実際にはほかのクラスと同じように教科書を進めることになりますから、こうした子どもも同じスピードで勉強しなければなりません。しかも、分からなかった、できなかったからといって、自分の学級の子でない限り残して補充指導をおこなうことはできないのです。

 これで本当に「習熟度別授業」は、子どもの学力向上に役立つのでしょうか。





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