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第二十一回「習熟度別授業」で学力は向上するのか? ()

F私たちを「子ども仕分け人」に仕立て上げる「習熟度別授業」

 佐藤学さん(東大大学院教授)は『習熟度別指導の何が問題か』(岩波ブックレット612)で次のように述べています。

 「フィンランドの教育が示唆しているのは、・・・‥能力の差異に対応した教育にどう改革するかではなく、能力の差異を生み出した教育をどう改革するかを問うべきです」「能力差別の現実がある限り、平等の価値は決してないがしろにしてはいけないのだと思います。それが、子どもたちの将来と未来の社会に責任を負う教育者の使命です」(70n)

 「習熟度別授業」が子どもの学力向上にちっとも役立たず、いっそう学力格差を広げ、子どもの学習意欲も先生の授業への意欲もそぐものだということをこれまで見てきました。「習熟度別授業」の本質(本当のねらい)は、個々の先生たちの願いや努力にかかわらず、公教育が公然と子どもをその「能力」に応じて選り分け、分相応の教育を施すための教育システムです。


 算数の苦手なケンちゃんにある星座の名前のついた「クラス」を勧めたら、涙をぼろぼろこぼしながら「ぜったいいやだ!先生がんばるからあそこに入れないで」と訴えました。

子どもたちは「習熟度別授業」のクラスの名前が星座の名前であろうと、動物の名前であろうと、それが「力(能力)の値踏み」であることをよく知っています。子どもの心を苛み、先生を「子ども仕分け人」に仕立て上げる「習熟度別授業」は、百害あって一理無しです。




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