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第23回  国家主義が忍び込む教科指導

■ 教科書に見られる伝統文化の尊重・愛国心

 新しい学習指導要領に沿った小学校の教科書の中身をもう少し見てみましょう。

 国語では「ヤマタノオロチ」「いなばの白うさぎ」などの神話が登場したことは先に述べたとおりですが、それに加え高学年では古文・漢文、中学年では短歌・俳句の学習が新たに加わりました。また、算数では「和算」の紹介ページが増え、音楽では「雅楽」についての記述、図工では印象派絵画を「風神雷神図」「鳥獣戯画」など日本画に入れ替えるなど、「伝統文化」に関する記述が急増しました。

 もちろん、「伝統文化」について理解を深めることはけっして悪いことではありません。しかし、それらが突出し、「愛国心教育」の一貫として取り扱われるとなると事は重大です。



■ 改悪教育基本法がその根っこ

 200612月に、当時国会で圧倒的多数を握っていた自民・公明によって改悪された教育基本法は、それまでの教育基本法から「個人の尊重」や「自発的精神」を削り取り、かわりに「伝統と文化を尊重」「我が国と郷土を愛する」態度をはじめ20もの「徳目」が盛り込まれました。新学習指導要領に沿った教科書が、これらの記述を急増させた根っこがここにあります。

 今回の社会の教科書検定ではこんなことが起きています。5年の社会科の教科書で、竹島(韓国名・独島)の領有権が日本にあると記述した5社の教科書はすべて合格、竹島付近に国境線を入れずに申請した2社の教科書には「理解しがたい」「不正確」との検定意見が付き、竹島の西側に国境線を書き入れて合格しました。

 伝統文化・愛国心が強調される教科指導。国家主義の足音を感じるのは私だけでしょうか。




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