3)スロベニア

スロベニアはオーストリアの南に接する人口約200万、四国と同程度の面積の小さな国である。多民族の坩堝、バルカン半島にあり、多難な歴史を持つ。永らくオーストリア・ハンガリー帝国の支配を受け、大戦後後もユーゴスラビアの一部であったが、1991年歴史上初めて独立を果たした。

地理的に北西部はヨーロッパアルブスに連なる山地で(ユリア アルブス)幾つかのスキー場もあるが、西はアドリア海に面し海、山両方の産物に恵まれている。世界三大珍味の一つ、トリフ、生ハムなど肉の加工品、上等なワインの産地もあり、近年観光面でにわかに注目されているそうだ。私はこ方は全く疎く、友人からうらやましがるメールも受けたが食べ物に関して大した経験はできなかった。因みに通貨はユーロ。

a)ブレッド湖

スキーを終えツェル アム ゼーを経て、昨年も立ち寄ったフィラッハで乗り換え、スロベニアに入った。以前「冬の湖と氷河は存在感が無い」と書いた通り、全く期待していなかったが、有名な観光地、ブレッド湖を無視もできず、時間的にも余裕があったので、レチェ ブレッド駅で降りた。客待ちのタクシーと交渉し、1時間余り観光を楽しんだ。と言っても夏の青い空と湖の美しさに到底及ばなかったのは想定内。天気は写真のごとく、どんよりとしていた。写真の色調を努めて明るく補正してみたがここまでが限度。

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ブレッド湖とブレット城 水鳥餌やり、
背景はマルティヌス教会

ところでこの写真はスロベニヤ鉄道車両である。原色使ったマンガチックなデザインにどうしても馴染めないが、イタズラ書き予防策?

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スロベニア鉄道車両デザイン

b)リュブリアーナ市内観光

レチェ ブレッド駅に戻り、次の列車で1時間弱、リュブリアーナに着いた。ITで探したホテルは場所が不明確なので、タクシーを拾い明るい内にホテルにチェックインした。休憩後、食事もせねばならないので、街の中心ブレシェーレノフ広場へとタクシーを呼んだ。まず広場近くのインフォメーション(旅行案内所)に寄り街の地図を貰い、リュブリーナ ツーリスト カードを購入しだ。市内交通機関と観光施設は追加料金無し。元が取れるかどうかは別として慣れない旅行者にとって便利だ。
カードは24h−23Euro、48h−30Euro、72h-36Euroの3種類。初回タッチの時刻からその時間内有効。なおリュブリアーナの公共交通機関はバスのみ、市電はない。

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カードセンサー 停留所電光掲示板

パスは日本のスイカ・カードと同様、乗車時センサーにタッチする。また各停留所には電光掲示板が設置されており、路線番号、行き先、待ち時間が自動的に表示される仕組で、大変便利だった。中々進んだシステムだ。
ホテルへ帰る時は地図、バス経路図を参考に早速カードを利用し、以後の交通機関利用に備えた。そんなに大きな街はないので1日もあれば大抵慣れるはずだ。

翌朝から市内観光に出掛けた。それ程大きな街ではないので市街図は省略するが、街の構造は昨年訪れたグラーツと非常に良く似ている。高さはグラーツ程でないが、街(旧市街)のすぐ後に山があり城が立っている。麓に川が流れており、川沿いが街の中心である。反対に言うと、砦の麓に街が出来、発展したのが容易に想像出来る。

ブレシェーレノフ広場の廻りに三本橋、19世紀の詩人ブレシェーレンの銅像、フランシスコ会教会がある。先のインフォメーションもこの一角。リュブリアーナ城には歩いて登った。グラーツの城山ほど眺望は良くないが、城内の見張り塔に登れば、グラーツの城山の様に街全体が眼下に見下ろせる。帰りはケーブルカーを利用し川岸まで降り、竜の橋を渡り、ブレシェーレノフ広場に戻った。

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ブレシェーレノフ広場、
フランシスコ会教会
リュブリアーナ城

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見張り塔から市街中心部 竜の橋

ザクレブへの移動日、それ程時間は掛からないことを見越し、午前中鉄道博物館を訪れた。奥まった分かりにくい所にあり、探すのに一苦労した。規模に於いて2001年に訪れたルツェルンの鉄道博物館に及びもつかないが、展示品は中々手入れが行き届いていて気持ちよく、入館者が少なかったせいか館員が丁寧に対応してくれ楽しかった。

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蒸気機関車1 蒸気機関車2

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蒸気機関車3 蒸気機関車4

c)ポストイナ鍾乳洞

リュブリアーナ滞在中、ヨーロッパ最大といわれるポストイナ鍾乳洞を見物した。平日とはいえ可成りの観光客が集まり、人気の高さがうかがわれる。ポストイナ駅はリュブリアーナから南西1時間程の所にある。駅前はタクシーさえなく、結局2Km 地図を頼りに歩き通した。道を尋ねながらで結構時間が掛かった。途中人っ子一人居ず不安になりかけたが、様子を察してか地元のおばさんさんが声を掛けてくれたのは助かった。洞窟入口には結構人がいたので、後で考えると何らか別の交通手段があったのではないかと思う。

確かに今まで体験した鍾乳洞と洞窟の長さ、大きさ、石筍の形の多様性においてスケールが格段に違うことは確かで、別世界に迷い込んだような錯覚を覚えた。季節により異なるのかも知れないが、定時にグループで出発。前後はトロッコで運ばれ(3.2Km)、中心部をガイドの解説付きで歩く(1.8Km)スタイルで、全行程45分間。有料であるが案内用レコーダーが借りられ、各所案内板の番号を押すとそこの説明が流れる仕組み。日本語対応もある。

一つ気付いたことがある。普通鍾乳洞内部は水が流れ、じめじめした印象があるが、この鍾乳洞は比較的乾いていることだ。理由は現在見学する洞窟の下に浸食により穴が空いて、別の洞窟が出来、水はそこを流れているからである。帰りのトロッコを降りた出口付近でその流れが眼下に見られる。・・・ということは現在の見学路は既に安定した状態にあり、石筍の成長はほぼ止まっていると言える。石灰岩も二重に洞窟が出来るほど厚いということなのだろう。
更に9Km奥に独特の姿をした洞窟城があるそうだ。帰りのタクシーの運転手にしつこく勧められたが時間がないと断った。この運転手は片言の日本語を得意げにしゃべっていた。日本人の多い観光地に良くあるパターン。

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鍾乳洞入口 トロッコ 洞窟内 1>

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洞窟内 2 洞窟内 3 大ホールと土産物屋