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日 時:2014年2月28日(金)19:00~21:50

場 所:国分寺市本多公民館

参加者:阿久津・小川・熊谷・鈴木ま・鷹取・高橋・田代・津田・手塚・町田・吉村・堀(記録)


 今月も初参加者がありました。高橋和代さんです。現在は多摩第一小のピアティーチャー(学習支援員)ですが、4月からは中学校の理科講師をされるということです。これからもよろしくお願いします。


0.当日紹介された書籍

  1. (1)「原子力と理科教育 次世代の科学リテラシーのために」(←岩波書店にリンク)

  2. (笠 潤平/岩波ブックレット№886)…………小川  郁

  3.  だいぶ前に、もと科教協東京支部長の滝川洋二さんが、イギリスの理科教育を語るときによく出されていたのが、著者の笠潤平(現・香川大学教育学部教授)さんでした。世界を揺るがしたBSE発生を契機に大きく方向転換したイギリスとの比較から、3.11の原発事故に直面した日本の理科教育のあり方、公教育に対する考え方を考証するものです。

  4. (2)「観光地の自然学 ジオパークでまなぶ」(←古今書院にリンク)

  5.                      (小泉 武栄/古今書院)…小川  郁

  6.  月刊「地理」(古今書院)に連載されていた「観光地の自然学」を単行本化したものです。この連載のうち、2011年9月号「隠岐諸島 島前~世界ジオパークをめざす豪壮な海食崖~」と10月号の「隠岐諸島 島後~海岸線に高山植物の咲く不思議~」は、2012年夏の隠岐フィールドワークの参考資料として大いに利用させていただきました。写真や地形図などの資料も豊富で文章もわかりやすく、自然観察が楽しくなる1冊です。

  7. (3)「ドキュメント東日本大震災 浦安の町―液状化の記録―」(←ぎょうせいにリンク)

  8.                        ((株)ぎょうせい)………堀  雅敏

  9.  2011年の東北地方太平洋沖地震による液状化現象の写真は、まとまったものがほとんどなく、『東日本大震災 茨城全記録 特別報道写真集』(茨城新聞社)に液状化のコーナーが見られるくらいでした。“茨城全記録”と題した写真集ですから当然、茨城県内だけです。浦安市などの協力を得て、浦安市内の液状化現象を記録したのが、今回紹介した写真集です。


1.教育情報「都立高校入試理科に出題ミス」

………阿久津 嘉孝・田代 正夫・町田 智朗

  1.  新聞やテレビなどでも報道された都立高入試理科の出題ミスについて、3人の方から報告がありました。

  2.  阿久津さんと田代さんからは、報道で話題になった「月と地球、太陽と地球の位置関係」と「秋分の日の太陽の道筋とほぼ同じ道筋を通る月」との組み合わせについての報告がありました。

  3. 阿久津さんからは、都教委からのメールについての報告がありました。

  4. この件に関して、阿久津さんを含めて30件ほどの問い合わせが都教委にあったそうですが、当初都教委は「採点基準について誤りはない」と回答していました。ところが、合格発表の前日朝、「〔問3〕については、受験者全員に一律5点を加点する」(その後すぐ、この意味の問い合わせについて「受検者全員を正当の扱いとする」と説明)と修正する回答があったそうです。

  5.  「10年ほど前には、誤りを認めなかった。よく訂正したな」との感想がありました。このように誤りを認めたのは、「30件の問い合わせの中に、国立天文台からの苦情があったからではないか」と話し合われました。

  6.  田代さんは、過去の自身のテスト問題を紹介し、今回の出題ミスについて、出題者が意図していたであろう問題文を推測されました。話し合いの中では、「このミス部分を含む地球・月・太陽に関する問題は、入試としてこの領域の一番大事なことだろうか」という疑問も出されました。

  7.  町田さんからは、報道された以外の問題についても、「アンモナイトは古生代から中生代にまたがって生息していたが、この化石を含む地層は中生代であるとの答えを正解とするのはおかしいのではないか」など数点に渡って問題点を指摘がありました。そして、個々の問題もさることながら、「関係ない文が多い」との指摘もされました。「むしろリード部分は読まないで、問題に直結する部分だけ読んで回答した方がいいのではないか」との意見もありました。

  8.  なんとも“お粗末な入試問題”というのが、率直な感想です。


2.実践報告「玉川上水と国分寺村分水」………………………鈴木 まき子

  1.  鈴木さんは現在、以前勤務していた国分寺九小の運営協議会委員をされているそうです。その関係から4年生の国分寺村分水(用水)フィールドワークの手伝い(のはずが、いつの間にか授業者に!)をした実践の報告でした。

  2.  子どもたちの頭の中では玉川上水と国分寺村分水が別々に認識されているので、これをつなげたいというのが大きな目標の一つだったようです。分水が引かれる前後の村人の生活を考えさせ、事前に実踏して撮影した写真や地形図を示しながら、実際には恋ヶ窪分水を歩いたそうです。学校近くではたどれたものの、北側取水口まではよくわからなかったそうです。

  3.  子どもたちの反応では上水と分水がつながったようですが、「地図が読めなくて苦労した」とのことです。これに関して、「小学校4年生では、どこまでできれば“地図が読めた”といえるのか」との質問がありました。これには、「まず東西南北がわかること、そして地図記号がわかること。等高線までは無理」との答えでした。鈴木さんの現役時代の実践では等高線まで読めていたように思いますが、これは坂図(さかず)を描かせることから順に、ていねいに実践されていたからです。

  4.  ※ 坂図(さかず)=登山ガイドブックに掲載されていることもある、コースの海抜高度の高低を表した線図のように、実際に歩いたコースの左右の動きは無視し、上下の動きのみを1本の線で示した図。実践では、坂の一番下に川が流れていることも確認できたりした。

  5.  また、どこが谷になっているのかを確認するため、高い場所から見せることはできないか、地形図の色塗りをさせるとか、等高線を利用して立体的な地形模型づくりはできないか、などの意見が出されました。

  6. 私たち自身も実際に現地を歩いてみないとわからないところがあり、フィールドワークをやる必要も出てきました。

  7. 実践後、国分寺分水の取水口が玉川上水の久右ヱ門橋から西側に残っているのを見つけ、さらには小平市史でその資料を見つけたそうで、次回の実践にはこれを利用したいとのことでした。


3.授業プラン「天気の変化(中2)」 …………………………吉村  成公

 (1) 同じ日射でも、比熱の違う水と岩石は温度差と気圧差を生じ、海陸風や季節風が吹く。地球の自転効果も加わり大気の大循環も起きる。

 (2) 水は比熱・潜熱が大きい。蒸発し潜熱を持った水蒸気は、凝結して大気を暖める。また、海水と大気はともに循環し、高緯度で放熱する。こうして穏やかな地球環境が実現している。

 (3) 中緯度で南北の暖気・寒気が衝突する日本上空では、ジェット気流が蛇行し地球を巡る。太陽放射の季節変化で起こる気団の盛衰とジェット気流の南北変化に伴い、日本の天気も変わる。

  1.  以上の3点を目標にして立てられたプランです。

  2. 「水平対流で大気の大循環をどのように説明すれば良いか」「気温の月別平年値の比較が秋田と宮古だけでいいのか」「緯度が同じということであれば、新潟といわきもいいのではないか」「時数も考える必要があるだろうが、世界の天気もやったらどうか」など質問や意見も出ましたが、続きは4月例会で、ということになりました。