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ARCH 5

                   駿河昌樹詩葉・2000年6月



おゝい、寵臣の眼窩よ、ブルーに縁がふかい眼窩(




風に 声がないと知ったのは


 きのう あたらしい高原を届けられて
ほのかな味の 街のかたちのウエハースをうまく拵えて   あ
  目の玉 ひとつ 岬ちかくの墓地に置いたままにして来ちゃった と
見えないからだの寵臣の ひとりが Culinary notesに書きつけて
    眼窩にコバルトブルーのゼリーを(なんの味だったかしら、
gimlet味?
               mint julep味、だった?)
                   嵌め込んで ものの諸性質の不思議から

  すっかり響きのよくなった眼窩、頭蓋、喉頭、咽頭まで、

ふるふる、ふ、る、
ふ、るっ、ふっ、ふるふる、

    鳴って

     気(がつく、遠くからのようやくの波の打ち寄せのように、
        俄か雨のたびに一滴ずつを受け 薄められてきた
 素朴なアカシヤ蜜のような
             ひかり色 して  つく



       登場人物の少ない 物語 筋さえも抜かれていく 自然な進みゆきを
        心臓(透き通った金の、ひかり色の。わたくしの、は。)は
                ナカユビの先まで 行き (雪?) 渡らしました

  )ソウダ、
    ユビサキハ、雪アラシノ、タダナカ、………………(

                  短いように 見えますか、…………

    )
  声には
  風はあるのかしら、
  ながいような


  みじかいような

風景の 景の 思いが わたくしを越えて丘まで抜けたようだ。
つぶつぶといろんなものが 線や 曲線を つくっている 動きの丘ですね。
うすい色 あるかなきかの
色が
ここでも 舟にはよろしいの。
ひかり色、
もっと透いて
浮き始めるでしょ、そのころの、
Culinary notesのページ
なに書きつけるつもりかしら 寵臣
眼窩にコバルトブルーのゼリー
それ 目 として
ふるふる、 ふるっ、

ふ、るっ、ふっ、ふるふる、

 風の 目?

  目 はあるのね  そのことを書きつける 寵臣    そして いよいよ
     ほのかな味の 街のかたちのウエハース

お時間
            あたらしい高原が届いたのだものね


           岬ちかく(の墓地に)置き忘れられた目は


海のほうをずっと見ている
と感じる(たしかではないけれど)

   おゝい、寵臣の眼窩よ、ブルーに縁がふかい眼窩

声のない風が (きっと) 叫んだ。


いま海のおもてをいっせいに波立たせたのは
       (きっと)

           その叫び






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