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                   駿河昌樹詩葉・2000年6月



morningむすめ?、mourningむすめ?




彼はまことに驚くべき聡明な人物であったので、
じぶんの考えを述べたりは
しなかった。他人を退屈させるだけ、と、分かっていたのである。
そのようなことは頭のわるい人間たちに任せ、じぶんの技量をたくわえていた。
幸福
というものの味わいとは、いかなるもので、あ、る、か、
を、じぶんを育んだ時代(十八世紀)から受けとり、周囲をそれで満たす、のを
好んでいた。家族、使用人、
官庁職員、ヴァランセやベネヴェントの地の臣下たち、
死の時まで交友の絶えなかった友人たち、かれら、皆に、

満足を、与え続けた。

      (Jean Orieux : Talleyrand ou le Sphinx Incompris, Flammarion, 1970.
ジャン・オリユ『タレラン伝』(藤原書店、1998)の
           宮澤泰氏の訳文に
           手を、(やゝ、ハゲシク、
           加え、使用。(スミマセン、勝手ニ、どうも、
                  & ありがとう、ゴザイ、マス。


Leaders destroy the followers
and the followers destroy the leaders. Why
should you have
faith
in anyone ? (J. Krishnamurti : Talks and Dialogues, 1968


(ブタイヲウシナッタ、オドリコ…………

(イチドモ、ブタイニ、タタナカッタ、ヤクシャ、…………


  Everything one sees is so unique that there is no way to talk about it except by comparing it to
something known to us. (Carlos Castaneda :
The Art of Dreaming, 1993

When sorcerers see a human being,
they see a giant, luminous shape that floats, making, as it moves, a deep furrow


in the energy of the earth, just as if the luminous shape had a taproot that was dragging. (Castaneda, ibid.

となりに今いるあなたの世界がわたくしの舞台ではなかったのだから
あなたたちはここにいてここだけを舞台として狭い。
哀れ、菜、

     錆、椎、藻、乃、苔ごころ、よ

  雪を、降った。棉、櫛、峨、雪を、………


大きな病棟に二度と立ち上がれない多くの老人たち、さまざまの病の末期の、
病者たちを、
see、see、見る。腕も足も骨と皮、(あれらの筋肉は、脂肪は、どこ、…………
どの血管のまわりも黒ずんで
舌には苔が生えるので日々消毒をする それでも生える
喉には痰が生じるのでカテーテルで  それでも生じる

(幸せ)だった (不幸)だった  「
だった 」
               (ワタクシガミテイルノハ、【だった】、カ?

                なにが好き【だった】の? 映画? ミステリー? 旅行? 歌謡曲? カラオケ? 鰻? ひとと違う装いの工夫? 流行に敏感【だった】の? そうなの、本心から愛し【た】の?薔薇を咲かせるのがうまかっ【た】の? いい人生【だった】と満足してらして? ムリにそう思っているのじゃ、なくって?
            ひとよりたくさん世界をめぐっ【た】の? まあ、そうなの、それはそれは…… あの大学をいちばんで出【た】? まあ、それは、また…… あら、あの方と親しかっ【た】んですの? それは、


それは…… ステキな車にいつも乗ってらし【た】んですか? 息子さんが、ねえ、そんなにまでお偉くなっ【て】ねえ…… ほう、そんな研究をねえ/賞を幾つもお取りになっ【た】/別荘がみっつも/職場では評判が/じょうず【だった】料理/動物とふしぎにすぐ親しめ【た】/たいへんな読書家/最後のあの線のSLに乗って/その分野では知らぬ者のない/ガルボのような素敵な横顔【だった】/ひとには恵まれ【た】/あの製品を発明し【た】のはじつは/わかるひとにはわかってもらえる/ 

死トヨバレルモノノ、権化、ワタクシ、(名乗ルベキ、ダロウカ、アカス、ベキ、?
手を洗う 拭く 汚物室わきの トイレ

  (人類ハ、宇宙ノ、汚物、デハ、ナイカ、 haha, ha, hahahaha, ………
(汚物、甲虫類ニモ、ばくてりあニモ、タイセツ、ナ、

聞こえる。もーにんぐ娘、

morningむすめ?

mourningむすめ?

色あざやかに賑やかに、賑、賑、喪につく、むすめ、たち、
だれの、喪(コック・ロビンの、でなければ
だれの、喪

ああにっぽんのもがいよいよほんしきにはじまろうとしている
ああにっ

J'ai tout rate.[ぼくは、ぜんぶ、やりそこなった。
Comme j'etais sans ambition, peut-etre ce tout n'etait-il rien.[野心
                         ってのがなかったんだから、


この「ぜんぶ」ってのは、「ぜんぜん」
                      ってことだったかも。(フェルナンド・ペソア『タバコ屋さんBureau de Tabac』、Armand Guibertによるフランス語訳〔Fernando Pessoa : Le Gardeur de troupeaux et les autres poemes d'Alberto Caeiro avec Poesies d'Alvaro de Campos, Preface et traduction d'Armand Guibert, Gallimard, Poesie, 1987 〕
と日本語への拙訳。

ああにっ。

ぽんのも ぽんのも
がいよいよ
がいよいよ

ほんし きには じまろ じまろ うとし うとし てい てい る
る る
る る
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる


As you turn to the spirit world, it turns
eagerly to you.(AL G.Manning, D.D.: Helping yourself with E.S.P., Reward Books, 1999

Don't forget, your spirit mind
doesn't just know your life's blue-print, it created
that blue-print.(Sylvia Browne : The Other Side and Back a psychic's Guide to our world and beyond, Dutton, 1999



静かな辞書をひくと死髪の匂いが萌えて


ここらから森の霊の域
see、するのでなく、そうなる
       然、なる、
オノズト、(自、然、
       はじめから
       だあれも生きていなかった
暗いサブシイばす停(亭、) に、足、
立たせた、まゝ、
じぶん、カミ、でしたか、
みんな、じぶん、でした、か、
モウ差異ハ、イラナイ、(殊更、に、は)
コトバハワタシノ、霊ノ、シタゝリ、
       目カラ、アナタニ、入ッテ、
       イク。see、は、〈入り。〉、
       〈入られ。〉、

コトバハワタシノ、霊ノ、シタゝリ、

        ワタシ、デハ、ナイ。

ワタシ、ハ、there is no way
       to talk about it except
       by comparing it to something known to us.
(Castaneda, ibid.

ワタシ、ハ、 Je ne suis rien.[ぼくはなにものでもない。
Jamais je ne serai rien. [この先もずっとそうだろう。ぜったい。
Je ne puis vouloir etre rien.[こんな状態、望んでるわけない。


   Cela dit, je porte en moi tous les reves du monde. [けど、そういうわけで、
                          ありとあらゆる夢を
                         じぶんのなかに担ってる
ぼく、さ。

(Fernando Pessoa,
ibid.

ワタシ、ハ、
ibid.






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