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駿河昌樹詩葉・2001年3月
東京のもっとも闇深い道、
東京のもっとも闇深い道(だそうです……)、
そこに、
かたちあるもの、かたちの花を、通過するまなざしとなってしまった……
(ことばは、なお、わたし、あなた、を、語るための、若葉、古葉、ですか……)
もっとも闇深い道、
そこに、
そこ、を、
しばらく辿るのですね、
そういうことになった、
なりました、
か、……
多くの詩のひと、先達は、実在の地名を記し、詩に滑り込もうとした……
あはは、あれ、……あれで、
よかったでしょうか、名のちからに縋って、
縋るほかない、詩の時代でしたか………………
東京のもっとも闇深い
道(だそうです……)、そこに、
踏み入る鞘なしの若葉、古葉、
陽のした、さんさんと水滴をまくようなオサナぶりで、
見えないことばの花が、
若葉、古葉を身に纏う、纏おうと
するようです、…………
わたくしは降るひかりの筋の裏々、浦々に隠れ、
それを見ていた。
東京のもっとも闇深い道、
風景も、地名も、葉裏の水の玉にからめとられて、
そこの入り口では、
ひかりの筋々と、わたくしだけが、あった………………
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