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ARCH 23

                   駿河昌樹詩葉・2001年3月



東京のもっとも闇深い道、




東京のもっとも闇深い道(だそうです……)、
そこに、

かたちあるもの、かたちの花を、通過するまなざしとなってしまった……

(ことばは、なお、わたし、あなた、を、語るための、若葉、古葉、ですか……)

もっとも闇深い道、
そこに、
そこ、を、
しばらく辿るのですね、
そういうことになった、
なりました、
        か、……

多くの詩のひと、先達は、実在の地名を記し、詩に滑り込もうとした……
あはは、あれ、……あれで、
よかったでしょうか、名のちからに縋って、
縋るほかない、詩の時代でしたか………………

東京のもっとも闇深い
道(だそうです……)、そこに、

踏み入る鞘なしの若葉、古葉、
陽のした、さんさんと水滴をまくようなオサナぶりで、
見えないことばの花が、
若葉、古葉を身に纏う、纏おうと
するようです、…………

わたくしは降るひかりの筋の裏々、浦々に隠れ、
それを見ていた。

東京のもっとも闇深い道、
風景も、地名も、葉裏の水の玉にからめとられて、
そこの入り口では、
ひかりの筋々と、わたくしだけが、あった………………







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