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駿河昌樹詩葉・2001年4月
平成小唄
あたしのいるのはこんな場所、
待っているものは来ないし、
こころ踊るものはみな、とうに逝った
あゝ、からだなんて
ほんとにあたしなんだろうかしら、
ほんに重いサねェ、この着物
思い描けども、なにひとつ
実現などせぬと知っているわサ
だどもな、思いよ、あたしのかわりに舞ってゆけ
こころ、日がな日がな、くたびれさするを
神様は唯一お望みじゃろか
暮れがたの陽に疲れ、日陰にさぶしみ
だれに恨みのあるわけでもねども
あたしゃ、うらぶれた浜のやぶれ屋
風つめたヤ、さびしヤ 月かげ
父母も、いまはまぼろし
温もりの、ちったァあった子ども時代も
波かぜのかなたに霞み
時間の滓か、残り葉か
重いからだも冷え切るまゝに
うつらうつらと坐る板敷き
願いさえ、待つものさえなく、来世さえ
くり返しよと覚悟して、あゝ、寂し
すべなし、とおはら遠原のほの明るさよ
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