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ARCH 59

                   駿河昌樹詩葉・2001年9月



わたしはだれにも見えない秋のさかり




霧がからだを引きうけて海のはじまるあたりへ延びている

わたしはだれにも見えない秋のさかり
足指の
先で水際に触れれば
この海に沈んだままの鐘がさらに白く、白く、と 霧に告白をする

むかしの鐘の音のよどみ
そこに生まれた気のゆがみに
浮き出た淡い影絵の


わたし だったか

はじめからお仕舞いまで
死に続けだったかのようないのち
死のさかり

秋のさかり






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