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しっとり豪奢に



しっとり豪奢に雨は降る
あざやか色の傘さして
そこの辻まで出ていこか
この世にいないあの人に
よく会いに出たあの辻に

しっとり豪奢に雨は降る
水をふくんだ紫陽花は
さわやか色にかたむいて
この世にまだいたあの人に
かしいだわたしの顔のよう

しっとり豪奢に雨は降る
はつなつ色の草に木に
こころの夏のままの身に
この世あの世もない辻に
傘さしていく艶やかに





「ぽ」177 2007年5月

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