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なにもない草はら



また雨が
ひとしきり降って
それでもなぜか
気持ちのいい雨で

まるで雨に
呼び出されるように
体の疲れも
湧き出てきたので

たまの休みの日
のんびりと
お茶を飲んだり
寝そべったりしていました

やんだ後の
蒸すような緑の空気の中へ
今夜つかうための
あの葉この葉

摘みに出ているあいだに
すうっと
湿り気が下がって
空気が爽やかになっていきます

茎の下のほうの
大ぶりの紫蘇や
バジルも毟り
おおかた摘み終えると

すこし歩きに出る気持ちになり
柵のむこう
なにもない草はらを
望みました

ギシギシや
スイバばかりの
なにもない
草はらなのです

それでもミズヒキや
オオケダテが
小さな彩りを
添えてくれているかもしれません

ほんとうに
なにもない草はらなのです





「ぽ」198 2007年9月

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