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思ってみるばかり



一行目
二行目
三行目    一行目に視線を
四行目    戻しても
五行目    戻さなくても
六行目    行は進む
七行目    海が見えるが
八行目    の海、七行目の海と思ったが
九行目    の磯に砕け散る
十行目    波のしぶきに
十一行目   甦る死者たちの顔、雰囲気
十二行目   像が甦るというのは
十三行目   像をまのあたりにしていた時と同じで
十四行目   つまりは死んでいないのではないか
十五行目   つまりはあの時も、生きていなかったのではないか
十六行目  (沈黙、ちょっとだけ…)
十七行目   海、が、また
十八行目   来る、来ている(見えるのではなく)
十九行目   散った像、思い、風、音、
二十行目   とりまとめようとしながら
二十一行目  さらにさらに新たに散らしていくのが生きていくことか
二十二行目  とりまとめようとしながら
二十三行目  どんどんひとりになっていくようじゃないか
二十四行目  とりまとめようとしながら
二十五行目  また来ている あの海
二十六行目  こちらがいてもいなくても あの海
二十七行目  いなくなってしまっても あの海
二十八行目  の磯にも砕け散る
二十九行目  の波のしぶきに
三十行目   戻ってくるものなんか ない
三十一行目  ただ思うばかりだ
三十二行目  戻るとか
三十三行目  戻らないとか
三十四行目  思ってみるばっかり





「ぽ」218 2007年12月

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