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いつも明けがたの地方



かげろうの
羽ばたきにも鳴る
楽器の胸は
もどる
源のむこう
いたみの
花となる扉へ

毎夜ほそ立つ
芽のような祈り
霧のからだに
うちよせられて
浅みの友
風にさわだつ
肌のおもて

いつも明けがたの
地方に膝をかかえて
透いていく
足先を確かめている
薄氷となって
まぼろしは剥がれ
欠如こそ翼





「ぽ」235 2008年2月

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