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耐えざる縫い直しの布の読み込み手



縫い直されていく運命の布


その無音のなか ゆがんだバナナの皮を剥いていた
きれいな矩形の展開図


湯が沸く 湯が沸く


薬缶や鍋から揺らぐ湯気は 肌が知らないでいる
微風との 見えない碧色の繊細な交渉


太い輸送管があるのかもしれないが こだわらない


すぐに巣穴の作り直しにかかる 蟻たちの落胆の欠如に倣って


魂はいつも 自由意志の森


出自を問われない川はそこを抜け あからさまに隠密に
細密な運命の布に絡み込む


織り手は独りではなかっただろうに


祈りの向きは狭い


バナナの展開図もやわらかい繊維の集まり 縦糸ばかりで
運命図にはなれないが


成就された包装は導く 遠くまでいく凝集の創り手と
耐えざる縫い直しの布の読み込み手とを





「ぽ」283 2008年4月

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