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ぶどうのくにのちかくに



ぶどうのたねを
ねた
さむいよる
ねぶたのことがおもわれる
なつだろ
あれは
なつだろ
なつだろ
そらが
やまのふかくにやすんでいる
ぶどうのくにの
ちかくに
だから
こころは
いきなければいけない
もうすこし
こころの
ねぎをたべながら
かぶをたべながら
ごぼうをたべながら
こころの
つちにまみれた
こころの
てをひろげて
こころの
たいようにすかしたり
こころの
みずにつけたり
そんなふうだ
いきるということは
つめのあいだにつちがつまる
ゆたかなことだ
こころのつち
ゆきもかぜもふきつけて
こころの
からだがちぎれそうになるが
そんなふうだ
いきるというのは
いきているというのは
とかいにいて
なんでもしってるとおもってきたろう
こころの
からだがしってなけりゃ
しょうがない
つめがつちをしる
てがどろんこをしる
ばったのうんこをつまむ
あせにひりつく
くびすじ
つれるような
あしこし
はなみずの
こびりついたはな
そんなことを
こころの
からだのあちこちがしらなけりゃいけない
そんなふうだ
いきてるってことは
むかしばなしや
えにかいたような
まちのにんげんたちや
えらがりどもや
かねもちどもが
てらいもなく
かたろぐやぶてぃっくで
えらんだ
にあいもしないふくをきて
のーてんきに
しんぐるしたり
かっぷるしたり
ふぁみりーしている
こんなじだいには
そらが
やまのふかくにやすんでいる
ぶどうのくにの
ちかくに
だから
こころは
いきなければいけない
こころの
つちの
せいかつを
おもいださなければ
ならない





「ぽ」314 2008年8月

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