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ちゃぷ ちゃぷ






うすらいだひかり、
つよまりはじめて
    みどりから
    色の水はしたたる

  はっ、…
   はっ、…

 わ     すれていた、ね、こんな
      ところまで
               来てしまっていてねぇ
               来てしまっていてねぇ



わたし、って
もう言わなくなっていたよ
だれでもいいものね
あそこに見えるひとがいつまでもいつもわたしです
森のなかに入っていくよ
行くのね
行っちゃうんだ
あれがわたしです
ずうっと見ていますから
見ていますから


息せき切って
おうちに帰ろう
あなたは彼でぼくでクッキーを焼く
ゆうやけがしずかに背中に来ていたでしょ
なんて遅いチビ時計
ぼくはこの前アリでしたけどね
と猫がつぶいやいていた
聞いちゃったよ
エノコログサって
発音してますか
この頃



こころはここら?
らここはろここ?


はろ
はろ


んんん、
いい音色だぁ


でも


到らないでください
愛するひと
ひとりでさびしくなんかないけど
たくさんいるとこんなにさびしい
お水を飲みに来た土の続くところ
到らないでください
愛するひと
シュウチャクさせてくださいナ
ウチュウはひろすぎて
まよっちゃうからね
まよっちゃうからね



目をつぶる
目をひらく
だれもいない


でも
水のしたたり
つめたいものを
くちびるから入れて
溶かしている
ひと


ちゃぷ
ちゃぷ



ちゃぷ



「ぽ」357 2009年7月

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