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暮色、暮色



旅など知らない。
夏時間の古山隆くんよ、
蝉はいきなり油で炒ったりしちゃだめだ
教室のすみでじゅうぶんに乾燥させてから
栗の林の古墳のすきまにそっと隠して
そうして　そ知らぬふうを装って
結婚でもしちゃえ
それからは旅行でしょ、ふつう
でも
旅など知らない

経験という奴と居酒屋で飲んでいた
奴はすぐに暮色する
おお、とか、ああ、とか、
ぼくも暮色して
給仕のねえちゃんまで
暮色、暮色

ふと思い出す古墳のすきま
蝉の乾燥はいかがな様子？

川海老の炒ったのはうまいけどね
蝉はいきなり油で炒ったりしちゃだめだ
教室のすみでじゅうぶんに乾燥させてから

そうして
結婚でもしちゃえ
どいつも
こいつも





「ぽ」118　2006年8月

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