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薄い青のタイル
薄い青のタイルがきれいに敷き詰められている。
一〇ミリ四方ほどか。一五ミリはない。小ささが、タイルひとつひとつの薄さを感じさせる。
薄いとはかぎらない。薄いにちがいない。作られる過程の繊細さ、敷き詰められていく時の注意の細やかさが、青く澄んでいる。
幾十見えているのか、わからない。見えているタイルは一〇〇もあるのか。いくつでもいいほどの、数。水が薄く張られていて、視線は水面でさえぎられている。さえぎられているが、タイルに歪みは見えない。水面を貫いたところで、視線は水の肉によっても、さらにさえぎられる。タイルに歪みは見えない。薄い水。薄青い水に見えるが、薄青さはタイルの色で、水の色ではない。色にも歪みは見えない。色の歪みというものはあるだろうか。
見えているタイルは一〇〇もあるのか。水がそれらの上に浮いていて、視野は限られている。この視野は薄青い。タイルの薄青が視野の色となって、まなざしがそれに触れている。まなざしが色を捉える時、間接性というものはない。色はいつも直接だ。
見えているこれらのタイル、そのうえの水、薄青。
その外、周縁、ほかのなにかは、見えない。
見えなくて、かまわない。
「ぽ」139 2006年8月
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