純情青春野郎爆進中!

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第二十話 春は、再び
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 ◎生徒ガヤ。
加藤 「よーっ間 久しぶりぃ!」
間 「あぁ加藤。久しぶりだな」
鳥居 「あ なに 加藤やっと来たか。大丈夫なのか?」
加藤 「あぁ。一週間ほど休んでたが、もー大丈夫だ。
  おぅ桐村」
桐村 「ん? あぁ加藤」
加藤 「…どーした桐村? なんか、元気ないな」
桐村 「え? そんなことないって」
鳥居 「…」
間 「あ 加藤、お前休んでる間にノートかなり進んだぞ」
加藤 「うそっ!? 見せてよ」
間 「えーっ どーしよっかな〜」
加藤 「たのむよ〜」
桐村 「…ふ〜っ。
  あ。 雪降ってる」

マスター 「は〜っ。雪ですか」
本城 「これは積もりますよ」
マスター 「積もるかぁ。電車止まらなきゃいいけど」
本城 「そうですねぇ。 あすいませんコーヒーをもう一杯」
マスター 「あぁ、はいはい」

 ◎生徒ガヤ。
高須 「あ〜っ だるい〜」
有野 「よー聖。どーした?」
高須 「あぁ有野。元気そーだな… あぁ、おまえはもう大学決まってんのか」
有野 「まぁね。大変だな、おまえも」
高須 「あれ? 所沢は? あいつはどこいくの?」
有野 「あいつは短大だよ」
蛍原 「よー二人とも」
有野 「あぁ蛍原」
高須 「…なんで元気そーなんだよ…」
蛍原 「え? あ そーだそれよりさ、
  外 見てみな。雪降ってるぞ」
所沢 「あーっほんとだ」
有野 「あ 春香」
所沢 「これは… 積もりそーね」
高須 「積もる?
  まいったなー。電車止まったら御影屋行くの遅れるなぁ」
蛍原 「行く気だったのか?」
高須 「そりゃそうだよ。今日もバイト… あっ」
蛍原 「だから! お前バイトやめたんだろーが」
高須 「…またやっちった」
蛍原 「もう二ヶ月もたってんだぞ?」
高須 「そーだよなぁ。
  はやいとこ大学決めて、またバイトやりたいもんだ」

高須 「マスター、コーヒーひとつー」
マスター 「あいよーっ」
本城 「なんか久しぶりだね高須くん」
高須 「そーいえばそーですね」
湯前 「ちょーどそこで電車が止まっちゃって」
高須 「うん… 雪に感謝だね」
マスター 「ははは…(コーヒーカップ置く)。 でも、帰りはどーするの?」
高須 「うーん… 電車は動きませんかね」
マスター 「一度止まったら長いよ」
高須 「バスは?」
マスター 「んー…」
湯前 「あ、バスは動いてますよ」
高須 「あ そう?」
マスター 「まぁなんにせよ、帰るのはもう少しあとにした方がいいね。今がピークみたいだし。
  少年は… 雪でつかまっちゃったか?」
湯前 「あたしが学校でる時にはまだいたけど」
マスター 「何か言ってた?」
湯前による桐村 「もう少ししたら行くよ」
湯前 「とか何とか」
高須 「大丈夫かな?」
湯前 (ボソッと)「そういえば、何か今日元気なさそうだったなー…」

 ◎雪道を行く。
桐村 「ふぅ…」
鳥居 「おい桐村」
桐村 「んー?」
鳥居 「お前 元気ないなー」
桐村 「まぁ…ね」
鳥居 「は〜っ(溜め息)。
  自分で決めたんだろ?」
桐村 「…」
鳥居 「もっとしっかりしろよ。皆心配してたぞ?」
桐村 「…そーだな。悪い」
鳥居 「やれやれ。 んじゃがんばれよ」
桐村 「あれ? お前こないの?」
鳥居 「あぁ」
桐村 「今日木曜だぞ?」
鳥居 「いいって。一人でいってこい」
桐村 「…きびしいね、お前」
鳥居 「やさしく見守る保護者ですから」
桐村 「狭山さんに似てきたか?」
鳥居 「何言ってんだよ」

マスター 「じゃあ、今日はこれで閉店だね」
高須 「全っ然やみませんね」
マスター 「はははは〜(わざとらしく)。ピークが長いのかな〜」
湯前 「お父さん、それ無茶苦茶」
マスター 「まぁとにかく、だ。
  高須くんも夕食食べていきなよ」
高須 「え? 悪いですよそれは」
桐村 「まぁまぁ、いいじゃないですか」
マスター 「というか、」
 ◎皿置く。
マスター 「もう作ってある」
高須 「…なんかなぁ。 じゃあすいません、いただきますね」
マスター 「いやいや」
湯前 「いただきまーす」
桐村 「いただきます」
高須 「…ん? どーしたの桐村くん」
桐村 「え」
高須 「なんか、元気ないけど」
湯前 「うん… 朝からずっとそうじゃない?」
桐村 「…えと…」
マスター 「…何か、言うことがあるのかな?」
桐村 「…一度、実家に帰ろうと思うんです」
湯前 「えっ」
高須 「いつ?」
桐村 「春休みに、鳥居と」
高須 「じゃあ、そっちに住むの?」
桐村 「…そうなるかもしれません。
  もしそうなったら、ここのバイトも…」
マスター 「ふーん…… ん?」
湯前 「…ん…」
マスター (小声で)「ほら、知賀」
湯前 「…うん。 …えっと……桐村くん!」
桐村 「ん?」
湯前 「…あの…。
  …お願い。…帰ってきて」
桐村 「えっ…。
  (息吐いて)わかった。がんばってみる」
湯前 「…約束だからね」
桐村 「…うん」
マスター 「…ふ〜っ。やれやれ」
高須 「さ、早く食べないと冷めちゃうよ」
桐村 「あ はい」
湯前 「あーっ! グラタン表面固まってるーっ!」
桐村 「あーしまったーっ!」

 ◎駅。
鳥居 「ほら、行くぞ桐村」
桐村 「あぁ…。
  なぁ鳥居、 …オレら、また帰ってこれるよな」
鳥居 「どーかなぁ。 まぁ、がんばってみなきゃな」(ニヤリ)
桐村 「え?」
鳥居 「約束したんだろ?」(ニヤリ)
桐村 「えっ…
  ちょっとまてっ。なんでお前知ってるんだよっ」
鳥居 (遠くで)「ほら、おいてくぞ〜っ」
桐村 「おい、鳥居ーっ!」

湯前のN 「そして、春休みが終わり、
  ――あたしたちは、三年になった。」
高井先生 「えー私が三年C組担任の高井です。
  当然現国担当です… あら間くん。また一緒ね」
間 「ってことは… 自己紹介は…」
高井先生 「する」
湯前のN 「高須さんは無事大学に入って、また御影屋でバイトを始めた」
高須 「♪〜」
湯前のN 「でも―― まだ、戻ってない。
  桐村くんと鳥居くんは、帰ってこない。」

高須 「へぇ。まだC組になったんだ。
  間くんと黒越くんは?」
湯前 「間くんもC組です。黒越くんは… Bかな?三内先生のクラスです」
高須 「うわぁ…」
マスター 「あの… 何て言ったっけ、学級委員の子は」
湯前 「あ、響ちゃんもC組」
高須 「…で… 桐村くんと鳥居くんは…」
湯前 「…来てないんです。また同じクラスになったんですけどね…」
高須 「でも、別の学校に転校したわけでもないし…」
湯前 「…でも…」
マスター 「大丈夫だって。約束したんだろ?
  きっと帰ってくるよ」
湯前 「うん…」
 ◎ドア開く
間 「こんちわーっす」
高須 「あっ」
湯前 「間くん」
京野 「こんにちはー」
高須 「あ 京野さん」
京野 「京野 和… またの名を、味覚発見部副部長」
高須 「えっ?」
間 「そして部長です」
高須 「へぇ… そーなったかぁ」
京野 「黒越さんがやらないって言うもんで」
間 「ところで、ここにいるかなーと思ったんだけど…
  桐村と鳥居知らない?」
湯前 「え…と…」
桐村 (遠くから)「ここにいるーっ!」
一同 「えっ!?」
湯前 「桐村くん!」
桐村 「たっだいま〜っ」
高須 「今帰ってきたの?」
桐村 「えぇ。本当はもっと早く帰るはずだったんですけどね」
マスター 「結局、どうなったんだい?」
桐村 「あ、大丈夫です。こっちに住むっていうことで」
湯前 「よかった〜」
桐村 「一年たったら、もう一度戻るんだけどね」
マスター 「そっ…か。よかったな、知賀」
湯前 「うんっ」
マスター (ニヤリ)「しょーねぇん」
桐村 「え? え? なんですか?」
マスター (小声で)「知賀なぁ、春休みに何度か泣いてたんだぞ?」(ニヤリ)
桐村 (動揺)「えっ えっ… いや…えと…」
湯前 「どしたの?」
桐村 「えーっ いやいや」
高須 「桐村くん、鳥居くんは?」
桐村 「あ、鳥居ならそこに」
高須 「そこです。“スーパーまみ”。なんかセールだったみたいで」
マスター 「なにーっ!? ちょっと行ってくるっ」
桐村 「あ、ちょっと待ってください」
マスター 「えっ?」
湯前 「桐村くん、またバイトやるんでしょ?」
桐村 「うん… その前にやることがあるんだ」
高須 「やること?」
桐村 「ちょうど京野さんもいるし」
京野 「えっ?」
桐村 「マスター! リターンマッチです!」
マスター 「あ〜… そーゆーことか。 よーしっ」
桐村 「パフェLサイズ10杯、お願いします!」


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