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 炉塞(ふさい)で南阮の風呂に入身哉 蕪村
北阮は富み南阮は春窮す

匂ひ来て金木犀の闇豪奢

小田原や灯ともす秋は魚の町

 京浜東北線に乗って蒲田あたりで呑川を渡り、少年時懐旧
呑川や春の羽田へ水濁る

死後の春は泣き面をして父訪はむ

そびらにて虻となりたる父のこゑ

酒飲めばうたてをぐらき春の人

はるのあめ鋭き少年は束の間に

誰に春のゑひの悲しみかたるべき

 連衆からのカスピ海ヨーグルトのお礼
昼寝して醍醐のごとき夢過ぎぬ

 正岡子規は若く死んだ叔父のような懐かしさがある
むかし壮夫(をとこ)路地にありけり獺祭忌

糸瓜忌や明治の空もかく青き

 大正三年、母八重と妹律、加藤忠三郎を子規の死後養子とする
亡くてなほ女らは子規いますごと

鶏頭の十四五本の去りしのち
 以上四句、平成十四壬午年九月十九日快晴

 二十六歳のときの杉山神社研究ノートを読む。
 鶴見川流域往昔
産土は従五位下にして春田打つ

 平成癸未歌仙発句
のぼり来れば昔の匂ふ花茨

 よられつる野もせの草のかげろひて涼しく曇る夕立の空  西行
日闌くるに夏草となる野のかげり

 奈良にて、いつかの夏
夏安居やゆゆしき仏も陰の中

 日野研一郎より隠州都万村産高正宗二本贈られる
たぷたぷと隠岐のうねりや秋二升

 高ばし伊せ喜にて
こころざし枉げて歓あり泥鰌汁




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