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ARCH 12

                   駿河昌樹詩葉・2000年10月



ろくがつのほていあおいにきすをしたことがあるかい




ひとりでみずを
てんにおちていってしまわないようにみずを
てんにおちていっていつも もどってこないものたちにしたいようにみずを  そう
あのはるのひのごごのしろつめくさ、みずを
いかないでほんとうにおねがいほんとうに、みずを
おさえていたの、みずを
りょうてひろげてむねをつけて、みずを

くらいあぶらのようなすいめんをすべっていったね、ほていあおい
つきのひかりさくさく
さいていたはなまくまく
あたしのうんめいって、これ?  ついに
わかったきがしたけどよるのくらいくらいみずのうえ

ほていあおいよりあおいうんめい
あたしをおきざりにしてかないでうんめい

ろくがつのほていあおいにきすをしたことがあるかい むかし
あわびしてたころくりかえしくりかえしみたゆめ
はかないのはいつもえいえんのほうよね とおい
てらにいくのね やまとうみのかなた
さらにかなた すべての
ものたちにようやくなみだするすべもおぼえて
しみこんでいくあたしあおいうんめい
みずにさしいるつきのひかりよりあおいあおいうんめい

みずをおさえていたあたしのあおいうんめいのおはなし、ろくがつ
けっこんしようよじだいさくごにじゅんすいにあいして
しろいどれすしろいこころうんめいはあおく
しろいかみさまのまえであさのばらのほおをおちるなみだ

やさしいくちづけをしてね、てのこうになんども
そのむかしあわびだったころひめていたゆめのように
そのむかしおんなだったころすてたゆめのように




              *『聖母水村はなこへの夕べの祈り』(NOUVEAU FRISSON 21, 1994.9)の第8の歌を改作した。







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