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水が砂のようになって



水が砂のようになって
ひかりの音をたてて触れてくる
足先の夢
つま先だけを
見ているこころだった……、という夢

夢からさめて
見ていた夢のことを
しばらく、……

でもどういうことか
とも
しばらく、……


 (水が砂のようになって
  ひかりの音をたてて触れてくる)


いつのまにか
つま先のことなど思わなくなって
水や
ひかりの音ばかりの
こころ


 (夢のなかで
  どうして見ていたのだろう
  つま先のことなど)


思いながら
空気の動きのなかに
水を見
ひかりの音を
もう
聴きとろうとしている


 (水が砂のようになって
  ひかりの音をたてて触れてくる)


床につける
つま先


 (  砂のようになって
  ひかりの音をたてて触れてくる
  水 )


 (水の床……)





「ぽ」165 2007年1月

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