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鏡像段階




わたしのせんせいはばかだった  たっだかばはいせんせのしたわ
せんせいのわたしはばかだった  たっだかばはしたわのいせんせ
ばかのわたしはせんせいだった  たっだいせんせはしたわのかば
ばかのせんせいはわたしだった  たっだしたわはいせんせのかば


わたしのせんせいはばかだった  たっだかばはいせんせのしたわ
せんせいのわたしもばかだった  たっだかばもしたわのいせんせ
ばかのわたしがせんせいだった  たっだいせんせがしたわのかば
ばかのせんせいがわたしだった  たっだしたわがいせんせのかば


わたしのせんせいはだかだった  たっだかだはいせんせのしたわ
せんせいのわたしもなかだった  たっだかなもしたわのいせんせ
ばかのわたしはせんべいだった  たっだいべんせはしたわのかば
ばかのせんせいはたわしだった  たっだしわたはいせんせのかば


わたしのせんべいはだかだった  たっだかだはいせんせのしたわ
せんべいのたわしもなかだった  たっだかなもしわたのいべんせ
ばかのたわしはせんせいだった  たっだいせんせはしわたのかば
はだかせんせいはしたなかった  たっかなたしはいせんせかだは


〔メモ〕いかなる言語配列も、それが言語配列であるかぎり等価である。地球をすみやかに、感情と意味の滑り落ちた言語配列のみの栄える星にするために「詩」はある。もちろん、演出としての喜怒哀楽や思想は永遠に伴われていくだろう。スパイスであり、言葉の彩である喜怒哀楽と思想。まことの心情の流露でなどなく、仮面としての、社交辞令としての喜怒哀楽と思想。






「ぽ」171 2007年2月

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