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どう人にこれを



永遠ということばを
まだ紡ごうとしている

雪の唄
唄の粉雪
舞うなかに
いないのに べつに
愛しても  べつに
なかったのに

小指のそとの六つ目の
みえない指
絡めて

つながっちゃった気に
なったんだろうね

なっただけ

でも
愛なんて
それ呼んで
いっしょに暮らした
数百年

老いもせず
子ももたず
若いからだと
心とで
ふたりは生きた
愛なんて
ときには呼んで
ながながと
宇宙の果てまで
飽きるほど


(で
(どうなさった
(とわたくしは問うたが
(声は切れて
(もうなにも聞こえなんだ
(粉雪の舞い出した
(深山の夜は
(雪にたちまち明るくなって
(わたくしの人里に帰る
(道も仄かに明るんだ
(ながいこと生きてきた
(ふしぎな雌雄の精霊たちの
(とわず語りにどうやら出会い
(雪夜のなかへと消えていく
(ところに遭遇したのだと
(思い至ってみたものの
(どう人にこれを語りまひょ
(なんだとこれを語りまひょ





「ぽ」271 2008年3月

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