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ケータイ譚



(いちばんゾッとした経験を
(お話いたします


洗いものを終えて
水が流れるのを待っていたら
どうしたことか
どんどん水が増えてきて
溢れそうになる
が溢れない
流しの淵ぎりぎりまで
水は来て
来て
あああ…
でも
さぁ〜っと
流れた!

やれやれ
ほっとして
書斎に戻ってくると
机の上にケータイがあって
ぴこぴこ着信

ところが
これが未知のケータイ
じぶんのものでも
家族のものでもない
はじめてみるケータイが
じぶんの机の上で
ぴこぴこ着信

そういえば
番号教えましたよね
かけてみて下さい
いま話したケータイがそれ
かけてくれれば
つながる

ぴこぴこ
ぴこぴこ

あなたもこのケータイに
つながる





「ぽ」274 2008年3月

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