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年齢



温度がさがって
増していく廊下のかたさ

だれもいないところなどないと
知ってるはずの年齢でしょ?
ほそい冷凍花のくずれていく音が
だから
届いてもいる

うすいガラスは
かならず
だれかの心を受信しているという
食器棚に並んでいるのは
ほんとうは位牌なのだとも

生きている
死んでいく
あらたな響きの
はじまることのない沼があって
そのほとりに
ひとびとは
最後
とどまるのらしい

つくり始めるのも
仮住まい

もう
館でなくてもいいと
諦めていたりする
らしい





「ぽ」290 2008年6月

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