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だからひとりでミネラルウォーター



内省は日を経た青ザカナ
しばしば
たびたび
肌には小皺
たるみの目立つ

わたしはタカシくん
あなたはヒロシくん
東京タワーが見えないここから

ブンガクなぁんてしちゃってさぁ

生きたまま埃をかぶって
じぶんで気づいてない標本さん(批判じゃなぁい、批判じゃなぁい…)
海じゃなぁい
ある区で
デートもしなぁいで
ひとりさびしく飲む酒は
わたしの柄じゃ
なぁいのよね
だからひとりでミネラルウォーター

いかに内省を外部化するか
思考がそのまま外出であるには?
―こんなクエスチョンがもう古びちゃってて
やわらかい氷が待ってるのよ
ふる
ふる
ふる
ふる

ああ、モノには古びがないけれど
古びがないモノの持ち主たちは
かなり古びちゃってる

たったひとりだけど
アメリカ人のAV男優が友だち
ほんとの裸は知らないけど
出演作品はぜんぶ送ってくれる
肌にはオイルを塗って映すんだそうな
ボディービルで鍛えた体
はちきれそうな女体にビシビシ
ふんだんにほとばしらせる汁
日に数名は相手にしなきゃ
でないと衰えるよ
やり過ぎってことはない
やればやるほど
強くなれる

貧相な体のにっぽんの知人が若い愛人こしらえて
そっと教えてくれたのは
若い娘ってのはいいもんだよ、やっぱり
その若い娘もたまたま知りあいだったので
そっと教えてくれたのは
けっきょくお金しか取り柄のないオジサンの
さびしい痩せたオシリ
ほそい腿
一回戦さえろくにできないのよ
なに、あれ
すぐに息切れしちゃってさ

こんぽんてきに物量優先の人種が世界にはいる
豆腐と醤油でできあがっている体で
まだまだ行きまっかね、ニッポン人しょくん?
まだまだ行かなっきゃね

新作が届いたので
たまに行くバーでマスターと拝見
これって
ワイセツとかインワイとか超えちゃってて
神話の世界だよね
吊るされている牛肉の
あのドーンという肉塊の
神々しさ
ほら、旧約聖書で神がさ
モーゼに言うじゃない?
I amってさ
わたしはいる、って
あれだね
どうだ、わたしはいる
はい、一女体おわり
お次の女体いらっしゃ〜い
おやおや
お次も牛並みの巨体だ
さあビンビンいくぞぉ、ってね

そうですね、ここまで行くと
わたしらって
なんだろうって思いますよ
しょせんこの世はモノとカラダ
この腰と乳房には
ココロもタマシイも吹っ飛びますねぇ

セイシンも どこ吹く風

まったくさ
旅でもしておいで
セイシンくん
もうちょっと筋肉つけて
足腰鍛えて
茶坊主みたいな美意識を殺し尽くしておいで
なにかというと
キョウトだ
オチャだ
オハナだと
せこせこ狭いオママゴトの
ああチッポケな
チッポケな
お国でありますことよ

淡白な肉欲につき合っていくのはやめる
交接相手は多いほうがいい
こんな単純な真理を隠すなよ
老いぼれセイシンども
しょせんは体力がないだけだろ
しょせんは諦念が滲み渡ってるだけだろ

だからひとりでミネラルウォーター
酒を飲んだら
次に来る体を抱けなくなる
次だ
次だ
次だ
次だ
次だ
まだまだ
まだ
まだまだ

だからひとりでミネラルウォーター





「ぽ」303 2008年7月

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