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そんなことばかりを



きょうも
なにもない日

だけど
きょうは
なにもない日　と思おう

目を閉じなくても　海は近い
なにを見ながらでも
海や青空や草原や
キャサリンの頬っぺたや
ヒロシのヤドカリなんかが見える
そんなれんしゅうを積むのが
ぼくの半生だったから

おおきな大きな流れにのって
なんにもしないために
地球に
たどりついたのだった

たぶん、ね

人生はけっこう長い休暇
ぼくは光を浴びて
目をつむったり
ひらいたり

いろいろなことを知っていても
いなくてもいい

さんさんと射してくる陽と
しとしと降り続く雨と
じつはまったく同じものだと
知ってる？

知っていくのは
そういうこと

あれをすればよかったとか
これをしなければよかったとか
そんなことは
どうでもよくって

陽と雨が同じとか
水流と風もほんとに同じとか

そんなことばかりを
知っていく





「ぽ」98　2006年4月

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