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よびすて自動人形



たがいちがいにくるまっていた、なまえたちの数秒、きゅうなかん
しょくがもたらされ、わたしたちはなすすべもなく、ぼうしのよう
なはなれをおろされていた。かたわらににせたいれもの、つぶやく
体温。からくり細工の凝視がきつい。
商人たちはどこにいったか。きゅうなたたまれかたに布がさかれ、
いちにちのしるしにそっとおかれることもある。ぬぎすてかたでう
らなわれた、かれのいなさをかかえてみる。ペンをはしらすうでの
はやさに、しらされたのもなまえだった。
かびんのなかでそだてようとおもったんです。ひなのようにくちを
あけ、おとこのなかではてていた、ひとがたたちをかきわけること。
くみあわせたらきっとほしくなり、わすれられる。精密さがくいこ
んだので、針をもとめてあるきたい。
ねしずまったころにやってくる、あたらしいひとなので、だれをも
ゆめをしらなかった。いつかかきちらした、あの文字たちはどこで
あきないをぬすむのでしょうか。おきざりにされたうでのにおいが、
眼のきわできっとわたしをあけると聞いた。
布のしたにおかれたなまえは、やりとりのたびにうずいていたのか
もしれない。ねじれたかんけいがおとこをはなし、おんなをとどめ
た。じかんをらっぱでとめるようです。ゆきかう客たちがやけに手
にとるので、ガラスの瞳がまたたくか。
おーとまたのよふけには、きっとあさがいたいだろう。つばのつい
たぼうしをかってください。わきのレースは霧ににせて。筆記され、
ひるにくちずさむのは、しぼんだはなのかずかずです。はぐるまに
よせて、みたされるのはかのじょだった。
かんまんな動作のていしが、わたしたちをしばり、つまりばらばら
にしたのだった。おぼえた筆順にさされたぬいめ。ぬぎすてたうら
ないがもどってきたと、街のかどで眼球をかざりたがり、かれらの
ようにもとめていたのもからくりです。
視線をしんそこみつめて、というかけもまた、おとこのいれものを
だますだろう。にんぎょうたちがめでたはなが、ぼうしにいらない、
のでわたしは霧をぬぐうのだ。針の眼のなかで、よびすてにされた
なまえです。はすかいに、顔をあげてあいしています。





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