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めぐりあうはる



では公園は中央にもろさをきざみ、うがち、やすらいでいたのだろ
うか。ことしの住人はなんだかせわしなくて、かれの行為をひつよ
うとしないように記憶したんです。こすれるたびにあつまり、まる
められた、おもいもまたみちのそとになってゆく。再生はそれでも
ひろげた腕のすがたで、地平線になかばはりついてみえたにちがい
なかったが。

くさったもの、たちがそえた木もはえるだろう。かれやんだ木の実
をかれにささげ、ざくざくとねがえりをうつようにもいでゆく。か
たちをひらき、ほうっていた、あの子をうしなわれたにがみがよび
ます。もうすこしでかえりそうなので、このまま公園をはじめてく
ださい。どこかからていねいにもたらされた、はるの花壇もわれる
ようにこなをふる。

広場というわくがくつがえされ、ほりおこされ、公園にむけてたむ
けている。子どものすがたでもどったものが腐葉土をふるいにかけ、
まぶしてやるのがやけにしずかだったから、たちあったものはおの
おのをうえてみるのだった。はらんだのならふさいでください。い
つかのテントの残骸がなまめかしいようで、はだになびく風をいっ
ときふるえた。いわっていてくれたのだと背後でおいつく、おとこ
の影がみじかかった。

まわるようについてきたおんなのなまあし。だしものにおぼえがな
かったが、かたむけた住人にたねをさしだす。あまいしぐさがめば
えるかもしれません、から。かれのいきなかったしがらみがみまも
るなか、ありし日の振りかたが夕映えのようにとぎれはじめた。恋
人たちの六本のあし。おわらない日程がちいさな余白をさしいれる
ので、テンペラ画のような花びらをだきしめてやる。

きづいたことがねがえりをうち、ゆめの水分までもうばってゆくの
でのびた枝。ようやくあいさつをたずねはじめ、ますます符号めい
て多発的に、おとずれた広場だったかにたちどまる。うちがわから
くさっていたとはしりませんでした。たまり、ふくらんだものがぶ
らんこです。おしだまったはるのきれめに、はじけた空白がたべつ
くされ、通過点だったといそぐ靴。花をむしって、やってくるのも
あの子だった。

では遠心力をうしない、はねかえり、なんども街はいなくなったの
だろうか。いぜんの住人がそぞろあるき、かれの頭上をてらしてい
た。腐爛にくるまれ、地中すれすれにやどるいのりでしたから、も
ぐるたびにうまれたんです。あしのかたちにうすれた恋を、とうに
おわった砂場にさがす。いっぽんの枝をうりました。ポスターにな
ったのかもしれません。ひそひそばなしが水平線をてんめつさせ、
公園ごと表情でくるんだのが芽吹きだった。





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