純情青春野郎爆進中!

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第二話 ゲテモノVS正統派
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桐村のN 「とある理由から、アパートの家賃が払えなくなったオレは、
  同じクラスのやつの親が経営している喫茶店『御影屋』でバイトすることになった。だが」
人1 「駅前の喫茶店のオリジナルの『日替わりみそ汁カレー』がすごいうまいんだって」
人2 「並んででも食べたいよな」
桐村のN 「そんなとき、ガラガラの御影屋にやってきたのは、常連の客だった」
客1 「甘いものが食べたいから…そーだな、じゃあスカイパフェ」
一同 「スカイパフェ?」
客1 「あ、ごめんスイカパフェだった。ハッハッハ」
湯前 「…ん? ちょっとまってよ…?」
桐村 「スカイパフェ…」
桐村・湯前 「それだぁ!」

高須 「スカイパフェってぐらいだから空だよな〜」
桐村 「空ってむずかしいですよな」
湯前 「夢とかハチャメチャパラダイスよりましじゃない」
桐村 「説得力がありすぎる」
湯前 「空っていったらなにかな」
桐村 「青くて 雲があって 鳥が飛んでて
  太陽の光が 木々の中をすりぬけて  そんな中 僕は 僕は…」
高須 「詩になってんぞ」
マスター 「スカイダイビングなんてどうだ」
桐村 「かけぬける空。そうそれはまるで鳥のよう。
  あの子のもとへ僕は飛ぶ」
湯前 「スカイダイビングねぇ…。 桐村くん、どう思う?」
桐村 「あの子はおどろいた… え?あ?ん?」
湯前 「ほら、あっちの世界に行ってちゃダメでしょ」
桐村 「あぁ失礼。 スカイダイビングねぇ…。」
高須 「スカイダイビングをしてる人を砂糖でつくるってのは?」
桐村 「えーっ甘すぎませんか?」
高須 「え? あれって食べないでしょふつう。 かざりとして」
桐村 「あ、そーなんですか?」
湯前 「おーい」
桐村 「あぁ、はいはい。 てーさつなんてどうですか?」
湯前 「なるほど」
高須 「でも、そんなの誰がやるのさ」
マスター 「そりゃ彼さ」
桐村 「へっ?」
高須 「そーだね。言い出しっぺだし」
湯前 「あたしたちだと顔が知れてるしね。んじゃがんばって」
桐村 「いや、あの…」
マスター 「確か、本城さんが並んでるはずだ。一緒に行ってきな」
桐村 「本城さん?」
高須 「あの常連の人」
桐村 「あ〜」
湯前 「じゃあ、」
3人 「がんばって〜」

 ◎店ガヤ。
店員 「いらっしゃいませー。こちらの席へどうぞ」
客1 「あ、はい」
店員 「ご注文は」
桐村・客1 「みそ汁カレー」
店員 「かしこまりましたぁっ」
桐村 「…ん〜… 本城さん」
客1 「ん?」
桐村 「なんか、他の人たちもみんなみそ汁カレーみたいですよ」
客1 「…そーだね。さすが、ってとこだな」
桐村 「あ、あの人って有名な評論家の山崎渉のそっくりさんですよ。テレビにでてる」
客1 「あっすごい 写真写真 サインサイン」
桐村 「あ、あの人って… 鳥居に間〜っ!?」
鳥居 「ん?」
間 「ああ、桐村じゃん」
桐村 「お前らなぁ…人が御影屋でバイトしてるっつーのに…別の店くるかぁ!?」
鳥居・間 「はっはっは」
桐村 「笑うなーっ!」
鳥居 「そーいえば何でお前がいるんだよ。バイト中じゃないのか?」
間 「そーだな」
桐村 「うっ…」
間 「どーなんだよ?」
桐村 「大きな声じゃ言えないが…」
鳥居 「小さな声じゃ聞こえないもんなぁ」
桐村 「黙っとれ。 …スパイだよ」
鳥居・間 「スパ…」
桐村 「さわぐなっ!」
店員 「おまたせしました〜。みそ汁カレーです」
一同 「どわぁぁぁっ!!」
店員 「? 何か?」
客1 「あ、いえ別に…ハハハハ」
桐村 「…ん? …こっ、これはぁぁぁっ!?」

 ◎ドア開く。
湯前 「いらっしゃいま…あ、桐村くんかぁ」
桐村 「何で残念そうなんだよ」
湯前 「お客さんが来ないんだもん。一人も」
桐村 「一人も!?」
高須 「みんな『カフェIN』の方に行っちゃうんだよね… で、どうだった?」
桐村 「一言で言えば、ゲテモノです」
湯前・高須 「ゲテモノ!?」
高須 「下手物… あまり手を加えていない、そまつなもの。例、ゲテモノ料理。反対語は上手物」
湯前 「細かいですね」
高須 「調べたから」
湯前 「え?」
高須 「いやいや」
マスター(遠くから) 「お〜い知賀、ちょっと来てくれ〜」
湯前 「あ、は〜い」
高須 「ゲテモノかぁ…」
桐村 「でも、けっこういけますよ、あれは」
高須 「へぇ? アイデア勝ちってところか」
桐村 「みそ汁とカレーが合わさって、独特の味を引き出してます。
  どっかの、『きゅうり+ハチミツでメロン味』とはえらい違いですよ」
高須 「あぁ、そんな伝説もあったな、そういえば」
桐村 「『伝説』どまりですけどね」
高須 「そうなの?」
桐村 「あれは甘いきゅうりですよ、はっきり言って」
高須 「…」
湯前(だんだん近付いてくる) 「ちょっと、何の話してんのよ」
桐村 「あ、いやいや… ん?」
高須 「知賀ちゃん、何これ?」
湯前 「スカイパフェ。」
桐村・高須 「えっ!?」
湯前 「お父さんが試しに作ってみたんだって。食べてみて」
桐村 「この砂糖で作ったスカイダイバーも食べるわけ?」
湯前 「だから普通は食べないんだってば」
桐村 「そっか…」
湯前 「どう?」
桐村 「ん。うまい。 …ただねぇ」
湯前 「ただ?」
桐村 「何か足りないな。こう…」
高須 「甘さだけだから、なんかこう…」
湯前 「お塩?」
桐村・高須 「ちっが〜うっ!」
桐村 「スカーッとするようなやつ!スカーッと!」
湯前 「炭酸?」
高須 「…それも違う…」
桐村 「スカーッって言うか、スーッとするやつだな」
湯前 「ハーブ?」
高須 「ハーブにも色々あるから何とも言えないなぁ」
湯前 「ミント?」
桐村・高須 「それだーっ!」

 ◎ドア開く。
客1、2 「ちわーす」「こんにちわ〜」
桐村 「あ、いらっしゃいませ〜」
客2 「あ〜、ほんとガラガラだね」
高須 「そーなんですよ」
湯前 「お父さ〜ん、お客さんだけど〜?」
マスター(遠くから) 「あいよ〜っ」
  (近付いてきて) 「本城さんに日笠さんか。ちょっと実験台になってもらおうかね」
客1、2「実験台?」
 ◎ドア開く。
鳥居 「ちわーす」
湯前 「いらっしゃいませー。 あっ」
間 「ども」
桐村 「鳥居に間!」
鳥居 「やっ。来たよ」
高須 「マスター。どーせならこの二人も実験台になってもらったらどうですか?」
鳥居 「あ、高須先輩もここでバイトしてたんですか…って実験台って何だーっ!?」
桐村 「これだよ〜ん」
客1 「へ?」
客2 「これは」
鳥居 「いったい」
間 「なんじゃらホイ?」
高須 「なんじゃらホイは死語だろ… ああ、これは我が御影屋がほこる新製品!」
湯前 「その名も!」
4人 「スカイ・パフェ〜!!」
客2 「マスターまでハイだね」
客1 「スカイパフェ…なんか聞き覚えが… あっ!」
マスター 「本城さんの失言ですよ。」
客1 「甘いものが食べたいんで…そーだな、じゃあスカイパフェ」
一同 「スカイパフェ?」
客1 「あ、ごめん スイカパフェだった。はっはっは」
マスター 「…という。」
客1 「再現させないでよ、こんなところで」
マスター 「最後の笑いがちょっと違ったねぇ」
客1 「どーでもいいって。んで…」
間 「この一番下の茶色いのは?」
マスター 「チョコスポンジ。クッキーも入ってます」
客2 「真ん中の青いのは?」
マスター 「ブルーハワイ」
間 「これ ゼリーっスか?」
マスター 「いや、ゼリーじゃないよ」
客1 「上の白いのは?」
マスター 「バニラアイス」
高須 「つまり土と空と雲をイメージしてるんだね〜」
桐村 「んで、その砂糖でつくった人が、スカイダイビングしてるわけ」
鳥居 「甘そうだな〜」
マスター 「口直しのウェハースも、ちゃんとそこに。」
鳥居 「あ、これですか… これは家をイメージですか?」
マスター 「そーゆーこと」
高須 「さ、食べてみて下さいな」
4人 「は〜い」「へ〜い」
湯前 「どうですか?」
4人 「…こ、これはぁぁっ!?」
客1 「まろやかな甘さと厳選された材料!」
客2 「タイプの違う3種類の甘さが舌を飽きさせない!」
鳥居 「しかもブルーハワイにはミントが入っている!」
間 「食べた後の爽快感がまた格別!」
4人 「最高だ〜っ!」
桐村 「ベタほめだなぁ」
高須 「ミントひとつでここまで変わるか〜」
客1 「こいつはマジでうまい!これは売れる!」
湯前 「なんか大好評だね〜」
マスター 「よーし…みんな、明日から忙しくなるぞ!」
桐・湯・高 「オーッ!!」

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