純情青春野郎爆進中!

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第五話 期待とうらはら
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鳥居のN 「ゴールデンウィークもたけなわの今日このごろ。桐村たちは、合宿に出掛けた。」
桐村 「合宿? …んーと… 『御影屋料理強化合宿』!?」
湯前 「『合宿の目的。
  1、桐村くんにまともな料理を作らせる。2、あたしにすごい料理を作らせる』」
鳥居 「そりゃいいや」
桐村 「と、鳥居!? お前何で…」
鳥居 「旅行行くって言ってたろ」
鳥居のN「…とにかく、そんなわけで合宿は三日目、最終日を迎えた!」

 ◎コーヒーカップを置く音。
高須 「ふ〜…」
マスター 「少年ら、今何やってるかねぇ」
鳥居 「なんか僕たち、平和ですね〜」
マスター 「所で、いったい何つくってるんだい?」
鳥居・高須 「秘密です」
マスター 「うぅぅ〜」
鳥居 (ボソっと)「 そーいえば、あいついったい何つくってるんだろ…?」

桐村 「ん〜…しまったなー。ビーフストロガノフ作ろうとしたのにエビ買っているとは…。
  ま、仕方ない。このエビですばらしいものをつくろう。 そーすれば」
桐村による高須 「すごいじゃないか桐村くん」
桐村による湯前 「さっすが〜 かっこい〜。 負けたわ」
桐村によるマスター 「これは時給300円アップだな」
桐村による鳥居 「いや〜、今月の家賃はオレが払うよ」
桐村 「…ということに…」
湯前 「…やってて悲しくない?」
桐村 「はうっ!? い、いつの間に…」
湯前 「いや、はじめからいるんだってば。この旅館、台所ひとつしかないでしょ」
桐村 「そうか… まいったな、こりゃ」
湯前 「ひとりごとにならないだけマシでしょ」
桐村 「んで、そっちは何つくるわけで?」
湯前 「料理」
桐村 「いや、間違ってはいないけどさ…」
湯前 「ま、勝負するってわけでもないんだし、気楽にやろうよ」
桐村 「気楽ねぇ… (素早く)何つくんの?」
湯前 「料理」(速答)
桐村 「う〜」
湯前 「はっはっは… ん?」
桐村 「? どしたん?」
湯前 「いや、今 だれかお客がきたみたい」
桐村 「客?」

蛍原 「…というわけで一泊できないかい?」
おかみ 「はぁ、ま そりゃかまいませんけど…お一人ですか?」
蛍原 「まぁ…」
おかみ 「保護者の方はおられないんですか… ま、いいでしょう」
蛍原 「で、実は5000円しかないんだけど…」
おかみ 「…う〜ん…それだと二食つきはむずかしいですねぇ…」
蛍原 「そこを何とか」
おかみ 「んー… あ、そっか じゃあ審査員で」
蛍原 「は?」
おかみ 「食事が1〜2回分は無料ですよ」
蛍原 「いや…その…どーゆーことで?」

 ◎ラジオ「とらば〜ゆ」流れてる。
鳥居 「あれ…高須さん、ラジオもってきてたんですか」
高須 「うん。毎回聞いてるからね、これは。
  近いうちに、うちの学校の近くで公録やるらしいよ」
鳥居 「へ〜」
マスター 「先手、2六歩」
鳥居 「あ、頭の中で一人将棋してる」
マスター 「後手、3三金。 先手、7六歩」
高須 「先手が有利だな」
鳥居 「えっ?」
高須 「飛車と角を動かせるようにしてる。それに比べて後手は守りがちとあまい」
マスター 「さすが高須くん。抱かれたい男No.1に選ばれるだけのことはある」
高須 「いつ決定したんですか、そんなの」
マスター 「いるでしょ、高須くんの追っかけみたいな人が。たまに来るでしょ、店に」
高須 「青柳ですか? あいつは違いますよ。貸したコーヒー代返せってしつこいんですよ」
マスター 「…」
鳥居 「そういえば、料理はまだですかね」
高須 「どうだろう」
蛍原 「えーっと もしもし」
鳥居 「ん?」
高須 「なんでしょ」
蛍原 「え〜っと、ここでなんか料理つくるとか」
鳥居 「そうですけど」
蛍原 「それで、僕が審査員することになったんでよろしく。高三の蛍原です」
高須 「あ 同じだ。高須です。同じく高三」
蛍原 「おやまあ」
鳥居 「なんか不自然な驚き方だなぁ」
蛍原 「いやいや。」
高須・蛍原 「はっはっは。」
マスター 「息あってるなー…」

湯前 「フィニッシュ!できたわ…題して『ドライカレーパン』!!」
桐村 「クロージング!オレもできた…題して『天体形式法』!!」
おかみ 「さて桐村さん、『天体形式法』とはなんでしょうか」
桐村 「こいつはですね、
  星のようにちりばめた国際社会において大切な物、それはエビです。
  つまりエビを焼いてちりばめたというシロモノです」
おかみ 「ははあ…なるほど」
湯前 「あれ?あたしには質問は?」
おかみ 「聞いただけでわかったから…」
湯前 「…たしかにね」
桐村 「オレにはわからんけど」
湯前 「…『ドライカレーパン』ってのは、ドライカレーを入れて焼いたパンよ」
桐村 「ホェ〜」
湯前 「簡単そうに見えるけどね、苦労したんだから。
  いかにドライカレーの微妙な風味を最大限に引き出すかが…」
おかみ 「ところで桐村さん、料理はこれで完成ですか?」
桐村 「エビを焼いて終わりですよ。はっはっは」
おかみ 「それが料理か〜い!」

鳥居 「あ〜。もう六月か〜」
桐村 「だね」
鳥居 「カビとか注意しなきゃな」
桐村 「だね」
鳥居 「御影屋の客、減っちゃうんじゃないか?」
桐村 「だね」
鳥居 「そればっかだな、お前」
桐村 「だね」
鳥居 「さてと。そろそろ学校行くか。ガス、元栓しめたよな」
桐村 「だね」
鳥居 「今のはちょいと変じゃないか?」
桐村 「だね」

 ◎生徒ガヤ。
有野 「お〜い聖(ひじり)〜」
高須 「ん? どーした有野」
所沢 「あのねー、転校生が来たんだって」
高須 「へぇ?このクラス?」
有野 「そっ。横浜から来てるんだとさ。
  …そーいえば、聖たしかゴールデンウィークに横浜行ったんだっけ」
高須 「ああ。ところで、転校生って男?女?」
所沢 「やっぱり こういう場合は男の子でしょ。かっこよくてスポーツできて…」
有野 「いやあ女子でしょ。そしたらオレのもんね」
高須 「何言ってんだか。 …おっと、先生が来た」
 ◎ガヤ、フェードアウト。
安田先生 「はい、今日は転校生を紹介しよう。はい入ってきて」
所沢 「おっ」
安田先生 「えー横浜の方からわけあって転校してきた… これは何と読むのかね?」
蛍原 「ホトハラです」
安田先生 「ホ…ホトハラ 高浩くんだ」
高須 「ホトハラ?珍しい名前だな… って、何かききおぼえが…」
安田先生 「ほら高須、ブツブツ言ってるな」
蛍原 「高須?」
高須・蛍原 「…(微妙な間) あーっ!お前は〜っ!!」

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