純情青春野郎爆進中!

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第六話 利彦さんの文学センス
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マスターのN 「横浜での御影屋強化合宿も終わり、季節は梅雨。
  高須くんのクラスに、ある事件が起こった。」
所沢 「あのねー、転校生が来たんだって」
高須 「へぇ?このクラス?」
有野 「そっ。横浜から来てるんだとさ」
蛍原 「ホトハラです」
高須 「ホトハラ?珍しい名前だな…って、何かききおぼえが…」
マスターのN 「そう、転校生とは合宿中に料理審査員をした、蛍原くんだったのだ。」

蛍原 「遠くに行くには大変な金がかかる」
高須 「それはオレが用意しておこう」
蛍原 「では私は船を…」
湯前 (小声で)「何やってんのあれ」
桐村 (小声で)「三年生の劇らしい」
マスター (小声で)「なんでここでやるんだか」
蛍原 「ところで、あの女に別れはつげたか」
高須 「いや…まだなんだ」
蛍原 「早めに言っておいた方がいい。出発が早くなるかもしれん。」
高須 「わかったよ。」
マスター (小声で)「どういう話なんだ」
湯前 (小声で)「よくわかんないけど…殺人がどうとか」
桐村 (小声で)「受験が近いから、最後に騒いどこうってコンセプトらしいですよ」
マスター (小声で)「…そうか…高須くんも、もうそんな歳か」
湯前 (小声で)「お父さん、今のはちょっと『おじさん』入ってる…」
マスター (小声で)「おっとぉ…ふぅ…」
桐村 (小声で)「そーいえば、マスターっておいくつなんですか? …35才ぐらい?」
湯前 (小声で)「まさかぁ」
マスター (小声で)「おい」
 ◎ドア開く。
日笠 「やっほー」
桐村 「あ、日笠さん。いらっしゃいませー」
日笠 「…あそこ、何やってるの?」
湯前 「劇の練習だそうですよ。 で、何にします?」
日笠 「そーねぇ… サンドイッチとアメリカン」
マスター 「あいよーっ」

日笠 「そっか…高須くんももう受験なのか」
高須 「ええまあ」
日笠 「ふーん…あれ?そっちの子は?」
蛍原 「あぁ、蛍原です。高須と同級生で」
日笠 「ここでバイトしてるの?」
蛍原 「はい。今日から」
マスター 「ちょっと待てぃ。いつ決まったんだ。」
蛍原 「ジョークです」
桐村 「いやにリアルなジョークっすね」
蛍原 「でも、こういう所で働きたいなぁって。
  なんていうんすか?この自然な香りがするっていうか…」
桐村 「そうですよね。鳥が飛んでて…」
湯前 「前にもそういうの聞いた気が…」
蛍原 「前はジョジョっていう所で働いてました」
マスター 「働いてみるかい?」
蛍原 「えっ」
マスター 「ジョークです」

 ◎生徒ガヤ。
桐村 「何で蛍原さんは御影屋でバイトできないんだろ」
湯前 「うちにはもう一人働くほど仕事もお金もないのよ。残念だけど」
鳥居 「そーだよね。スカイパフェでかせいで一人分。ふつうの品で一人分。
  合わせて二人分ってとこだね」
高井先生 「はーい静かに」
 ◎ガヤ静まる。
高井先生 「えぇ〜 三年生が受験の前だってことでいろいろやるというのを聞きましたか?」
間 「は〜い 聞きマンゴープリン。」
高井先生 「え〜間くん 10分正座」
間 「そんな〜」
加藤 「(シブく)オレもすわってやるよ」
間 「(シブく)ありがとう。でも君には迷惑かけられないよ」
加藤 「(シブく)いいんだ。だってオレ達友達だろっ。」
間 「加藤」
加藤 「間」
間・加藤 「こんな友情にめんじて…」
高井先生 「二人で20分正座」
間 「失敗か」
加藤 「あと一押しだったな」
高井先生 「…というわけで次の週の金曜日の学活を使ってお楽しみ会をしませんか」
早野 「(キザく)それはいいですね」
高野先生 「みんな6つに分かれてお話してね」
 ◎生徒ガヤ 6つに分かれてお話
桐村 「やっぱりこういうメンバーになったか」
鳥居 「おう」
湯前 「うん」
間 「まあ」
加藤 「やっぱ」
鳥居 「仕方ないだろーが」
桐村 「しっかしお楽しみ会なんて…高校生がやるもんか?」
湯前 「ほら、高井先生は小学1年のお子さんがいるから」
桐村 「は〜。…でもなぁ…」
湯前 「いいじゃん。こーゆーのって久し振りでしょ?」
桐村 「まあそうか。ん〜…5〜6年ぶりかな?」
加藤 「で、なにする?」
間 「そーだな… 人類初の火星到達とか」
桐村 「スカイパフェの実演発売とか」
鳥居 「実演発売っていうのか?」
加藤 「梅酒のラッパ飲みとか」
湯前 「いや…もー少しまともなのにしない?たのむから」
間 「ピラミッドとか」
桐村 「野球とか」
加藤 「あやとりとか」
湯前 「あのねぇ…っ」
桐村 「さてみんな、何やるか」
間 「劇がいいっスー」
桐村 「うん、それもいいね。他にはあるかな?」
湯前 「は…早い…」
鳥居 「そんなとこじゃないか?」
間 「…そーだな。 クイズとかは、もうあきあき」
加藤 「いいチョコだらけ」
間 「うわ〜い」
桐村 「…(硬直)…じゃ劇ってことでいいかな。
  そーいえばこのメンバーの中に演劇部だったやつっていないの?」
鳥居 「いないだろ。強いて言えばおまえと間」
桐村 「なんでだ。 まあいいか。どんなのやる?」
間 「『ヒーローインタビュー』」
加藤 「『パテオ』」
桐村 「なつかしい…」
湯前 「『鳥』」
鳥居 「呼んだ?」
湯前 「ちがーう!『鳥』よ、『鳥』。」
加藤 「ああ、ジャングルジムみたいなのに鳥がバーッと集まってくるやつ?」
湯前 「そうそう。お父さんがよく見てる」
桐村 「知らねーって」
間 「まず映画である必要はないでしょ。オリジナルだっていいんだし」
一同 「お〜」
間 「というわけで、『オバケの間太郎』」
一同 「なんでだーっ!」「ちょっとまてーっ!」「おいこらー!」
鳥居 「それだったら『トリえもん』とか…」
加藤 「『忍者カットリくん』とか…」
湯前 「『エスパー知賀』とか」
桐村 「『キリケン』とか」
鳥居 「『鳥公』とか」
加藤 「『カーマン』とか」
湯前 「『ゆのトラB』とか」
桐村 「『桐星デンカ』とか」
間 「あ〜っやめんかい!なんでこんな話になってるんだ。まったく」
加藤 「おまえがはじめだろーが」
間 「全部あの人の作品になったのはオレのせいじゃないぞ」
桐村 「でも ほんと どんなのにするか…」
一同 「う〜ん…」

 ◎客ガヤ。
高須 「へー。知賀ちゃんたちも劇やるんだ」
湯前 「うん…でもどんなのやるか決まってないんですよ」
高須 「ふーん… あ いらっしゃいませー。
  えーっとご注文は…コーヒー二つに…スカイパフェ二つに…」
桐村 (遠くから)「マスター、クリームソーダとカレーライス」
マスター (遠くで)「あいよーっ。 おーい知賀、ちょっと手伝ってくれー」
湯前 「あ、はーい」
マスターのN 「…とまあ、今日は御影屋は大いそがしだった。」

桐村 「はぁーっ つっかれたーっ」
マスター 「ごくろーさーん。はいこれ夕食」
桐村 「あ、今日は木曜日でしたっけ」
高須 「御影屋は木曜日だけ閉店後に夕食がでるんだ。知ってたかな?」
湯前 「高須さん… 誰に言ってるんですか?」
高須 「いやいや」
マスター 「しっかし…なんで今日はこんなに客がきたんだ?」
高須 「そこの寺井塾がつぶれてスーパーまみができたんで、そこに主婦がドサーッと…。
  その帰りによるんですよ。」
湯前 「そっか〜。主婦って話すのが好きだからね〜。
  『立ち話もなんだから〜』とか言って…」
マスター 「知賀もきっとそうなる」
湯前 「え?」
マスター 「いや」
桐村 「それよか、なんか劇でやるものないですか?」
湯前 「あ、そうそう。来週の金曜日、あたしたち劇やるのよ」
マスター 「ふーん… その脚本がないのかい?」
湯前 「そう… あっ!」
マスター 「わかった じゃあ書こう」
桐村 「え? マスターが ですか?」
マスター 「そう」
湯前 「あぁ…」
高須 「? どーしたの、知賀ちゃん?」
マスター 「じゃあちょいと物をとりに行ってくるよ」
 ◎マスター去る。
湯前 「は〜っ…」
高須 「どうしたのさ?」
湯前 「お父さんが脚本…」
桐村 「そんなすごいわけ?」
湯前 「お父さんの文学作品のセンスといったら…。
  あ、確かここに…あったわね」
高須 「ん? 何これ?」
桐村 「詩みたいのだけど…」
湯前 「読んでみて」
高須 「『こうか』  作:湯前利彦
  あなたは知ってますか? 『こうか』はたくさんある
  ききめかな? 学校の歌? 降りるのか? (効果・校歌・降下)
  それともなんだ。
  値段が高い? コイン? 硬くなる? (高価・硬貨・硬化)
  その他たくさんあるけれど
  むずかしいので全てパス
  あなたは知ってますか? 『こうか』はたくさんある
  −完−」
湯前 「四年ぐらい前に本城さんたちに見せて、大爆笑のまま幕を閉じたの」
高須 「は〜…」
桐村 「いや… いける」
湯前・高須 「え?」
桐村 「こりゃすごい… 日常における会話の中にナゾがもりこまれてる…」
湯前 「お、お〜い」
桐村 「これなら脚本も期待できそうだ!よーしやるぞーっ!」
高須 「聞いてないな…」
湯前 「大丈夫かしら…」

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