純情青春野郎爆進中!

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第七話 高須さんと青柳さん
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蛍原のN 「オレがこっちに来てから二週間ほどたったある日のこと。」
蛍原 「遠くに行くには大変な金がかかる」
高須 「それはオレが用意しておこう」
蛍原 「では私は船を…」
湯前 (小声で)「何やってんの あれ」
桐村 (小声で)「三年生のげきらしい」
高井先生 「…というわけで次の週の金曜日の学活を使ってお楽しみ会をしませんか」
早野 「それはいいですね」
加藤 「で、なにする?」
一同 「う〜ん…」
蛍原のN「そんなこんなで決まらぬ彼ら。
  だがしかし、意外なところから事件は解決のきざしを見せた。」
桐村 「なんか劇でやるものないですか?」
マスター 「じゃあ書こう」
桐村 「え? マスターが ですか?」
高須 「? どーしたの、知賀ちゃん?」
湯前 「お父さんの文学作品のセンスといったら…」
桐村 「いや…いける。
  これなら脚本も期待できそうだ!よーしやるぞーっ!」
湯前 「大丈夫かしら…」

安田先生 「…というわけで、次は有野・高須・蛍原・青柳・所沢による、
  劇 『暗闇の火蓋』 だ。脚本は有野だそうだ」
 ◎生徒「イェー」「ヒューヒュー」など。
青柳 「(ナレーション風に)今日もパリは霧だった。
  すぐ先のものさえぼやけさせてしまう、霧…
  その霧の中で、今日もまた…」

 ◎ドア開く。
湯前 「ただいまぁ〜」
桐村 「ちわーす」
高須 「あ、おかえりー」
本城 「やあ。おじゃましてるよ」
桐村 「あ いらっしゃいませー」
マスター 「おぅ、帰ってきたか。 どーだった、劇は?」
湯前 「恥ずかしかった〜っ。もーっ あんなの書かないでよー」
マスター 「そんなの書いたっけ?」
湯前 「書いた」
マスター 「まぁいいか。ほらとっとと着がえちゃって。早くしないとお客さん来るぞ?」
桐村・湯前 「は〜い」
 ◎ドア開く。
高須 「あ いらっしゃいま… あ…」
青柳 「やぁ」
高須 「あおやぎ…」
マスター 「久しぶりに来たな」
高須 「ご…ご注文は」
青柳 「コーヒー代ひとつ」
高須 「は…ははは…」
湯前 (遠くから、だんだん近づいて)「おまたせー。 あれ?」
桐村 「またですか、あの二人」
マスター 「もう100回はやってるな」
本城 「もはや名物となってきてる気がするんだが」
桐村 「でも… 何で返さないんだろ?
  高須さん、コーヒー代ぐらい返せそうなもんだけど」
本城 「そりゃ返せるさ。
  でもほら、ここで返したら、
  それでもう二人をつなぎとめておくものがなくなるかも知れないだろ?
  それがわかってるから高須くんも返さないし、
  あっちの娘だってああ言ってはいるけど本当に返してほしいとは思ってないみたいだね」
桐村 「えっ… (小声で)あの二人って、そんな関係なんですか?」
本城 「さぁ? でもまぁ、少なくとも僕にはそう見える」
マスター 「なるほどね。わかる気がする」
湯前 「そうなのかな〜…」
桐村 「ふ〜ん…」

鳥居 「へぇ? そんなことがあったのか」
桐村 「ああ… でもたしかお前言ったよな?」
鳥居 「あぁ…。『高須先輩は中学生のころ恋人を事故で亡くしたんで、
  彼女のことを忘れられない』って」
桐村 「でも、あくまでうわさだろ? うわさは半分以上うそだって言うぜ」
鳥居 「まーね。
  でも、中学生のときに恋人を事故で亡くしたってのは本当らしい。
  高須さんと同じ中学だったやつが言ってた」
桐村 「誰?」
鳥居 「京野」
桐村 「ああ…。 あ、そーいえば今日 皿洗い お前だろ?」
鳥居 「あっとそうか。 んじゃがんばりまーす」
桐村 「はい がんばってー。
  …でも… 高須さん、どーなんだろ…?」

高須 「…はぁ…」
蛍原 「ん? どーした高須?」
有野 「なんか悩みでもあるのか?」
高須 「ああ…あるね」
所沢 「なになになに?」
青柳 「言ってごらんなさいな」
高須 「んじゃ言うが…
  夕食どきにいきなり四人でひとんちにやってきて、
  『ヤミナベしよう』って言うよーなやつをなんとかしてほしいなー…と」
四人 「…(少し沈黙)…ハーッハッハ」
高須 「笑うなーっ! まずなんで笑うんだ!」
蛍原 「ま そりゃとにかくとして。
  いーじゃんか。闇ナベのひとつやふたつ」
有野 「ふたつもやってられないけどな」
蛍原・有野 「はっはっは」
青柳 「それに、どーせヒマだったんでしょ?
  たまにはみんなでヤミナベ囲んでってのもいーじゃん」
高須 「なんでヤミナベなんでよ」
所沢 「石狩鍋よりいいじゃん」
蛍原 「いや…そっちの方がいいけど」
高須 「ま、とにかくだ。
  もう九時だぞ? いいかげん帰らないと、親とかが心配するだろ」
有野 「大丈夫。 部活とかでたまにこのぐらい遅れることあるから」
所沢 「そーだね」
青柳 「あたしんちは今日 親遅いし」
蛍原 「オレはひとり暮らしだ」
所沢 「あ、そーなの?」
蛍原 「横浜から来るんじゃ遠いでしょ?」
所沢 「ま、そーだね」
高須 「はいはい それはいいから!
  そっちがよくてもこっちはよくないの! さ、帰った帰った」
蛍原 「へいへい。 じゃ帰りますかね」
有野 「もう少しくつろいでたいなー」
高須 「ひとんちでくつろぐな!」

高須 「ふ〜。 やっと帰ったか。
  …ま、でもたまにはこういうのもいいかもな」
青柳 「ひっとりっごと〜♪」
高須 「わぁぁっ!?」
青柳 「やあ」
高須 「あ…青柳!? おまえ なんで…」
青柳 「ほら それ。忘れ物だよ」
高須 「ん…? ああ…(ガサガサ)これ?」
青柳 「そ。 あ、ありだと」
高須 「なんだよ、これ鍋の材料じゃなかったのか」
青柳 「そっ。 中 見てないでしょうね」
高須 「ん? ま 見てないけど… 何なの?」
青柳 「別に変なものじゃないけどね。ほら」
高須 「あ ほんとだ」
青柳 「んじゃ、あたしはこれで」
高須 「あぁ」
青柳 「じゃーねー。コーヒー代 返してよー」
 ◎青柳去る。
高須 「ふぅ…。 ……あいつもなぁ……。」

 ◎街のざわめき。
湯前 「あ〜っ つっかれた〜」
桐村 「今日はまた いちだんとハードな授業だったなー」
間 「あれ?鳥居は?」
桐村 「あぁ、あいつ? バイトだってさ」
間 「へぇ? やってたの?」
桐村 「まーね。オレがバイトするまではあいつが生活費かせいでたから」
湯前 「そっか〜。何のバイト? 本屋の店員とか?」
桐村 「力仕事。 工事がどーのこーの」
湯前 「へ〜っ。 ちょっと意外」
間 「イメージ変わるなぁ」
桐村 「そーか? …ん?」
 ◎なにやらザワザワしてる。
湯前 「あの… あ、日笠さん」
日笠 「あ、知賀ちゃん。あのね、今御影屋がね…」
桐村 「何かあったんですか?」
日笠 「パフェLサイズ10杯にいきそうな娘がいるのよ!」
桐村 「えぇっっ!?」
 ◎遠くで「お〜っ」という声。
日笠 「あ…10杯いったみたい」
桐村 「ちょ、ちょっと…!」
間 「おい、桐村まてって!オレも行く!」
湯前 「ちょっとっ… 二人とも〜っ!?」

マスター 「あっと少年。パフェ10杯やられてしまったよ」
桐村 「誰ですか!?それ…」
マスター 「えーっと… あ、そこの娘」
桐村 「ん…?」
間 「あーっ! おんまえはーっ!!」

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