純情青春野郎爆進中!

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第八話 人とおもいと福引きと
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本城のN 「高須くんたちの劇や桐村くんたちの劇、
  そのほかいろいろなドタバタも終わったある日のこと」
日笠 「あのね、今御影屋がね…」
桐村 「何かあったんですか?」
日笠 「パフェLサイズ10杯にいきそうな娘がいるのよ!
  あ… 10杯いったみたい」
マスター 「あっと少年。パフェ10杯やられてしまったよ」
桐村 「誰ですか!?それ…」
マスター 「えーっと… あ、そこの娘」
間 「あーっ! おんまえはーっ!!」

京野 「え? …あ、間先輩じゃないですか」
マスター 「なんだ、間くんとも知り合いなんだ」
京野 「はい。同じ部活なんですよ。味覚発見部で」
蛍原 「副部長です」
高須 「あれ?おまえ、何でここに?」
蛍原 「あんだけ店が騒がしけりゃ、来たくもなるさ」
間 「しっかし京野さん…よく食えたなー」
桐村 「そうそう…って、 えっ? …おい間」
間 「ん?」
桐村 「今『京野』って言ったけど… じゃあ、ひょっとしてA組の京野の… 妹?」
京野 「そうです。 兄がお世話になってます」
桐村 「あ いえ こちらこそ… 」
湯前 (遠くから)「お〜い」
高須 「あぁ、知賀ちゃん」
湯前 「ふぅ。 …あれ?」
京野 「あ、お久しぶりです湯前先輩」
湯前 「えーっと…… あ、思い出した。和ちゃん… だったよね」
京野 「はい」
湯前 「でさ… そろそろ、戻らない?」
京野 「ギクッ」
桐村・マスター 「戻る?」
湯前 「そっ。」
蛍原 「こうして見てると、
  『うわー めっちゃ礼儀正しくて真面目そうな人や〜』という感じだけど、
  …今の和ちゃんは和ちゃんにあらず」
高須 「そこまで言うか」
蛍原 「でもそうだろ? 部活のときとはえらい違いだ」
京野 「まぁ そーですけど。
  しかし おどろきですねー。こんなところで先輩にこ〜んなに会うなんて」
桐村 「…なんかさっきと違う…」
京野 「まだちょっとおさえてますけどね」
桐村 「そりゃいいとして… ほんと、よく10杯いけたね。
  オレだって9杯半ぐらいだったのに」
京野 「ペース配分考えて食べてたらいつのまにか。
  こーゆーのはそういうもんですよ。 あたし小食だもん」
桐村 「んなバカな… …さすが味覚発見部」
味覚発見部一同 「関係ないって」
マスター 「まあとにかく… これで3人目だな、10杯いったのは」
桐村 「3人? え…誰ですか?」
湯前 「一人は本城さん。4年ぐらい前だったっけ?」
マスター 「もっと前だろ。たしか… 7年か8年か」
湯前 「そんな前だっけ… えーっと… あたし、小学生?」
マスター 「もう一人は… 高取というやつで」
桐村 「高取?」
湯前 「お父さんの同級生の人。そういえばここ何年か来てないなぁ」
マスター 「ま、それはいいとしてだ」
 ◎客、一気に「コーヒ〜」「レモンスカッシュ〜」「サンドイッチ〜」などと言い出す。
マスター 「彼らをなんとかせんと」
湯前 「あ〜っ わっすれてた〜っ!」
マスター 「おいおい」
桐村 (遠くで)「申しわけありません〜。 えっとご注文は… カレーライスと…はい、はい…」
高須 (遠くで)「あ、はい…コーヒー2つ…アメリカンですね?かしこまりました。はい…はい…」
マスター 「さーて。急いで作らなきゃね」
湯前 「えっと… じゃ和ちゃん、記念写真とりたいんで、また明日きてくれる?」
京野 「あ、わっかりました〜」

鳥居 「はい ごちそうさまでした〜」
桐村 「や〜食った食った」
鳥居 「うまかったろ、このパエリア。自信作なんだよ」
桐村 「ほほぅ。…しっかしお前、いろんな料理に手ぇ出すよな〜」
鳥居 「それ、ほめてるわけ?」
桐村 「さあ?」
鳥居 「ま、ほめことばとしてうけとっておこう。
  …で…なんだって? パフェ10杯いった人がいるんだって?」
桐村 「そうそう。A組の京野の… 妹」
鳥居 「いもうとぉ!? …って、あの有名な?」
桐村 「有名なのか?」
鳥居 「一年の中じゃ一番真面目な人だという…」
桐村 「真面目ねぇ…」
鳥居 「あと ほら、兄妹仲がすんごいいいんだ。中学も高校も同じ学校だし」
桐村 「へ〜… って、おい鳥居ぃ。
  今 気がついたんだけど… なんでティッシュ買いだめしてんだ?」
鳥居 「へ?」
桐村 「あそこ。えーっとひのふのみの… 15箱もある」
鳥居 「あ〜。 違う違う。あれはぜ〜んぶ福引き」
桐村 「福引き?」
鳥居 「そっ。 商店街で今やっててさ。
  一等は… どこだっけなー… 『天国に一番近い所』だ…えーっと…」
桐村 「『天国に一番近い』? 『おいらんぶち』か?」
鳥居 「『おいらんぶち』?」
桐村 「東京で一番幽霊がでるとこ」
鳥居 「おまえくわしいな… ま とにかく、それじゃない。第一それだと天国じゃないだろ。
  えーっと… ニュー… ニュー… …ニューカレドニア!」
桐村 「ニューカレドニア?」

蛍原 「オーストラリアの近くの島さ」
桐村 「オ…オーストラリアぁ!?」
マスター 「すごいな… 商店街、そんなに金あったのか」
桐村 「一等の玉は入ってないとか…」
高須 「はっはっはぁ。 そのとおりだったりして」
一同 「はっはっは」
湯前 (遠くで)「なにみんなして笑ってんの〜?」
高須 「ありゃ… 起こしちゃったか」
マスター 「いいって。どうせもう起きる時間だったんだし」
湯前 「あ〜…あ(あくび)… おはよ〜」
桐村・高須・蛍原 「おはよー」
マスター 「土曜日だからってこんな時間まで寝るか?もう10時だぞ?
  …ま とにかく、朝ごはんテーブルの上おいてあるから。早く食べてきな」
湯前 「は〜い」
 ◎ドア開く。
京野 「おはようございます」
高須 「やあおはよう」
蛍原 「どーしたの、こんなに早く…
  あそっか、昨日言ってたっけ。記念写真とるとか」
京野 「ええ」
マスター 「じゃあ ちょっと撮るか。奥の方へ」
京野 「変なことしないで下さいね」
マスター 「ちょっとまてぃ」
京野 「ジョークです」

京野 「『天国に一番近い島』ですか? あの…森村 桂の?」
マスター 「そうそう。よく知ってるね」
高須 「でも町内会ですからねー。あやしいですよ」
桐村 「鳥居もティッシュばっかあたってましたよ」
湯前 「ところで、一等がそのニューカレドニアなら… 二等は?」
高須 「えっとね… たしか横浜の方だったかな」
蛍原 「横浜?」
高須 「そう… あぁ、お前 実家横浜か」
蛍原 「あぁ…。 そういえばもう一月ぐらい帰ってないな」
湯前 「連絡とってないんですか?」
蛍原 「手紙ぐらいは出してるよ。週一回ぐらいかな」
一同 「ほぇ〜?」
蛍原 「妹がそーゆーの好きでさ。送れ送れってね」
桐村 「あ〜」
京野 「たしか、福引きは今日が最終日ですよ」
湯前 「あ、そうなの?」
マスター 「じゃあ、昼買うついでにニューカレドニアでも当ててくるか」

 ◎ドア開く。
マスター 「ただいまー」
蛍原 「あっ 帰ってきた」
桐村 「なんかうれしそうですね… 何かあったんですか?」
京野 「こういう場合は…」
 ◎ドサドサとティッシュの山。
京野 「…やっぱり」
マスター 「はっはっは」
高須 「あれ? マスター、何か持ってません?」
湯前 「あ… ほんとだ」
蛍原 「なんですか それ?」
マスター 「フッフッフ… これだぁっ!!」
一同 「あぁぁっ!?」
桐村 「フツーの茶ぶーとー!」
湯前 「しかも なんのかざりもなし!」
高須 「その上 すごいうすい!」
蛍原 「中の紙がすけて見えそう!」
京野 「ニューカレドニア旅行… なわけないですね。
  商品券でもあたりましたか」
マスター 「フフフ… あまいよ」
湯前 「え? …ってことは?」
マスター 「見るがいいっ! 二泊三日の横浜旅行だ っ!!」
一同 「えーっ!?」「なぬーっ!?」「どっしぇー」「わー」

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